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トランプ氏、スマホ・PCなど電子機器の関税を免除 中国も対象

2025年04月13日(日)15時30分

 トランプ米政権は中国などから輸入する一部の電子機器について、「相互関税」の適用除外を認めた。写真は撮影に応じるトランプ大統領(中央)。2月フロリダ州デイトナビーチで代表撮影(2025年 ロイター)

David Lawder Jeff Mason

[ワシントン/ウエストパームビーチ(米フロリダ州) 12日 ロイター] - トランプ米政権は中国などから輸入するスマートフォンやパソコン(PC)を含む一部の電子機器について、「相互関税」の適用除外を認めた。海外で製造して米国に輸入しているアップルなどのハイテク企業に大きな恩恵をもたらす。

米税関・国境警備局は関税の対象外となる品目の一覧を公表した。この措置は5日午前0時01分(日本時間午後1時01分)にさかのぼって適用される。

除外対象となるのは20の製品カテゴリーで、コンピューター、ノートPC、ディスクドライブ、自動データ処理装置、半導体装置・機器、メモリーチップ、薄型ディスプレーなどが含まれる。

これらの電子機器は大半の国に課している一律10%の関税も免除される。

関税の適用を除外した理由は明らかにされていないが、アップルやデル・テクノロジーズなど大手ハイテク企業や輸入業者にとって重要な救済策となる。台湾製の半導体や、インドで生産されるアップルのiPhoneの輸入コスト軽減につながる。

トランプ大統領は大統領専用機エアフォースワン内で、関税免除の理由と半導体に関する計画について、記者団から質問を受けた際に、「14日に具体的な説明を行う予定だ。米国は多額の資金を受け取っている」と述べるにとどめた。

ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は今回の発表を「今週末に聞いた中で最も強気なニュースだ」と評した。

「アップル、エヌビディア、マイクロソフトなどの大手テクノロジー企業やハイテク業界全体が大きな安堵のため息をつくだろう」とメモに記した。しかし、「中国との交渉については依然として不透明感と不安定さが残る」とも指摘した。

ホワイトハウス当局者によると、中国からの輸入品については、今回の除外措置は125%の相互関税のみに適用される。合成麻薬「フェンタニル」の米国への流入を理由に課された20%の関税は継続される。

当局者はトランプ氏が近く、半導体に関する新たな国家安全保障上の貿易調査を開始するとの見通しを示した。新たな関税につながる可能性がある。

レビット大統領報道官は声明で、トランプ氏は半導体やスマホ、ノートPCなどの重要技術製品の製造を中国に依存することはできないと明言したと述べた。

トランプ氏の指示を受け、アップルやエヌビディア、台湾積体電路製造(TSMC)などの大手テクノロジー企業が「できるだけ早く米国内で生産を目指している」と述べた。

<関税の痛み>

今回の関税免除措置は、インフレに苦しむ消費者への影響について、政権内で認識が高まっていることを示唆している。

しかし、アナリストは、中国からの輸入品に対する関税が54%に引き下げられたとしても、アップルのiPhoneの最上位モデルの価格が1599ドルから2300ドルに跳ね上がる可能性があると予測している。関税が125%になれば、米中貿易はほぼ停止する恐れがあるとしている。

米国国勢調査局のデータによると、2024年の中国からの輸入額はスマホが417億ドルと最大で、次いでノートPCが331億ドルとなっている。

ロイター
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