「破綻国家」ミャンマーを襲った2つの災害が、軍政を終わらせる可能性あり?...政治を揺さぶる「天災の力」
Double Disaster in Myanmar
さまざまな定義があるが、一般に破綻国家とは、政府が有効な統治能力を失った国と理解される。具体的には、人民や領土を守り、インフラを維持し、経済を管理し、健康や教育などの行政サービスを提供する能力があるかどうかが問われる。
米NGOの平和基金会は毎年、「脆弱国家ランキング」を発表している。治安組織の機能や、法の支配、難民や国内避難民の存在など主要12項目、計100個の指標に基づき世界各国の状況を評価し、点数をつけている。
最新ランキング(24年)でワーストトップ5はソマリア、スーダン、南スーダン、シリア、コンゴ民主共和国となっている。ミャンマーは、ハイチとチャドに次いで11位だ。
だが、ドイツの偉大なる社会学者マックス・ウェーバーが20世紀初めに示した主権国家の定義では、「暴力の独占」こそが国家の一体性を維持するカギだとされている。マーグによれば、国家はその領土内で唯一の武力の正当な使用者でなければならず、この武力の独占が崩れると、国内は混沌に陥るというのだ。
「国家は暴力を独占しているか。ミャンマーの場合、答えは明らかにノーだ」と、マーグは言う。なにしろ多数の武装組織が存在して、国土の半分近くを支配下に置いているのだ。「『暴力の独占』という非常にシンプルな定義によれば、ミャンマーは破綻国家と言える」