「破綻国家」ミャンマーを襲った2つの災害が、軍政を終わらせる可能性あり?...政治を揺さぶる「天災の力」
Double Disaster in Myanmar
「破綻国家」の仲間入り?
「今では全土の3分の2が民主派の支配下にある。タイ経由での援助物資の搬入をもっと増やさないと。震源地のザガインは人道援助を切実に必要としている」と、ミャンマーとの国境に近いタイのメーソートに拠点を置く独立系のアナリスト、ポール・グリーニングは言う。
「バングラデシュからラカインを経由してザガインに至る人道回廊を緊急に設置する必要がある」と、グリーニングは語る。彼によれば、軍政の支配権が及ぶのは、ヤンゴンとネピドーといった主要都市を中心に全土の15%程度にすぎない。
これに対して、EAOとPDFは約45%の絶対的支配権を握るとグリーニングはみる。残りの40%(ザガインとマンダレーを含む)は、誰が支配するかをめぐる戦闘が続いているという。
このため、ミャンマーはもはや破綻国家になったと、ハワイを拠点とする外交政策研究機関パシフィック・フォーラムのブラッドリー・マーグ非常勤研究員らは語る。軍政が一定の正統性を維持できているのは、中国とロシアの支援があるからにすぎない。
「どう見てもミャンマーは破綻国家だ。だが、軍政が存在する以上、破綻国家とは呼べないと言う人たちもいる。軍政が踏みとどまっているなら、いちおう国家の体はなしているというわけだ」と、マーグは語る。
一方、ミャンマーの人権状況を担当するトム・アンドルーズ国連特別報告者は、2年前の時点で、ミャンマーは「破綻しつつある国だ」との見解を示していた。