バイデンはどうすれば「失敗大統領」にならずに済むか
UNDER PRESSURE
看板政策の法案成立が難航するなかでバイデンは党内調整に奔走した SAMUEL CORUMーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<新型コロナ、アフガン撤退、インフレ......。気が付けば瀬戸際に追い込まれていた79歳大統領の命運と、アメリカの行方>
ジョー・バイデン米大統領は、就任1年を前に失敗の瀬戸際に立たされている。
野心的な国内政策を象徴する2つの法案は、激しい党内対立のせいで頓挫しかけた。
それ以前から、ワシントンで40年以上の政治経験を誇るバイデンの能力には、悲惨なアフガニスタン撤退や南部国境の危機的な不法移民問題で疑問符が付けられていた。
一方、新型コロナウイルスのパンデミックはなかなか収束せず、物価は上昇中だ。前任者ドナルド・トランプは、2024年の大統領復帰に向けて早くも選挙活動を始めたかのような政権攻撃を繰り返している。
バイデンは看板政策の大型歳出法案、「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」を何とか成立させようと予算規模を3.5兆ドルから1.75兆ドルに半減させたが、それでも支持率の低下は止まらない。
政治情報サイトのリアル・クリア・ポリティクスによると、これまでの仕事ぶりを支持する意見はわずか42%、不支持は52%に上った。56%近くあった就任直後から14ポイント近い急降下だ。
与党・民主党は議会で過半数ぎりぎりの状態で、中間選挙まで残りあと1年。
バイデンの支持率急落に政治的盟友たちは危機感を覚えている。バラク・オバマ元大統領の顧問だった政治評論家のバン・ジョーンズは、「民主党は崖っぷちをのぞき込んでいる」とCNNに語った。
歴史的に中間選挙は1期目の大統領にとって難しい闘いだ。
オバマ政権1期目の2010年、民主党は下院で63議席を失い、現職大統領の与党として1938年以来の大敗を喫した。民主党内には、2022年はさらにひどいことになると懸念する弱気派もいる。
コロナワクチンの接種が順調に進んでいた今年前半の民主党は、楽観論に包まれていた。
バイデンは独立記念日の7月4日を、アメリカ人が通常の生活に戻れる祝祭の日と決定。側近たちは大統領当選の決め手となった新型コロナ問題で大きな政治的勝利を収めれば、バイデンに強力な追い風が吹くと考えていた。
だがその後、デルタ型変異株が広がり、感染者と死者は再び増加。バイデンの支持率は急低下し始めた。
1兆ドル規模のインフラ投資法を成立させた今、焦点は民主党が進歩派(プログレッシブ)と穏健派の党内対立を乗り越え、大型歳出法案を議会上院で可決できるかどうか。その結果次第では、バイデンの国内政策の行く末に暗雲が立ち込める。