- HOME
- コラム
- Instagramフォトグラファーズ
- 日本人インスタグラマーAKO、琴線に触れる「鏡」的…
日本人インスタグラマーAKO、琴線に触れる「鏡」的作品
From AKO @akolonic_
<iPhoneとアプリだけを使って、自分の息子から蛾、ヌード、田舎までを作品にして発表。彼女の写真は、自分自身のメタファーだ>
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の元キュレーター、ジョン・シャーコフスキーの言葉を借りれば、写真には2つの大きな特質がある。"鏡"と"窓"である。鏡は自分自身のメタファーとしての写真。窓は写真を通して外の世界を知覚することだ。
今回紹介する日本人インスタグラマー、通称AKOは、前者を特化したものになるかもしれない。ねじれたメタファーではあるが、彼女にとっての写真――インスタグラムで発表している写真――は、自分自身を架空のキャラクターとして演じ、その中からファンタジーとして浮かび上がってきたものであるという。
非常にテクニシャンである。すべてiPhone で撮影し、さまざまなアプリを使って、写真とビデオとを問わず、自分のイメージに近づけている。本職はグラッフィクデザイナー。アートスクールで講師をしていたこともあり、経済的に余裕のない生徒のために、どこまでiPhone のアプリでレベルの高い作品が作れるかを試行錯誤したという。それがテクニック的に大きな財産になったらしい。
ちなみに、写真を本格的に始めたのは、インスタグラムが世界的に広まり始めた2012年からである。こうしたバックグラウンドから、彼女のことを写真家と呼ばずにインスタグラマーと呼んでいる。
とはいえ、ポスト・プロダクションが主体とはいえ、AKOの作品は機械的な写真ではない。例えば、反抗期の中学生の息子を撮った作品(下)。そこに恋愛感情はなくても、どこか恋人との不可思議な関係を見るような錯覚にさせてくれる。
【参考記事】日本の「かわいい」と似て非なる「ピンク・カルチャー」とは何か
この筆者のコラム
未婚女性やバーニングマン......決して一線は越えない「普通の人」たち 2020.03.13
iPhoneで撮影、北欧の「瞬間」を切り取る20歳のストリートフォトグラファー 2020.02.13
「男が持つ邪悪性をドキュメントしてきた」現代を代表する戦争写真家クリストファー・モーリス 2020.01.16
「アカウントは2回消した、それでも飽きない」本職はビル管理人のフォトグラファーは言う 2019.12.16
トランプ政権誕生でワシントンへ「全てはこのための準備に過ぎなかったとさえ思う」 2019.11.23
世界的な写真家が「魔法的な構図の創作者」を超えた写真 2019.10.27
日本の路地を彷徨い、人生が変わった「不思議と迷わなかった」 2019.09.27