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日本人インスタグラマーAKO、琴線に触れる「鏡」的作品
また、田舎シリーズは彼女が好んで撮影するテーマだが、本人いわく、そこには自分の育ってきたルーツがあり、それも地理的には東京近郊であるため、懐かしさとコンプレックスが入り混じっている。
枯れた花や蛾も、人生の無常やはかなさを表している。とりわけ蛾は、死が待っているにもかかわらず光に向かって突き進むその習性に惹かれ、ストレートで頑固な自分自身のメタファーになっているという。
時おり、強制的に削除されたりもするが、チラリズム的に自分のヌードもインスタグラムで発表している。そうしたものが見る者の琴線に心地よく、ときには刺激的に触れるのである。
実のところ、AKOのこうしたテクニックとソウルフルな写真要素の合体は、彼女の家庭環境や家族の歴史からきているのかもしれない。
石油ビジネスに関わっていた祖父は、戦前から写真を大きな趣味とし、ヌード写真も含むさまざまなプリントを家に残していたという。また父親は、大手化粧品メーカーのサラリーマンをしていたが、本当は画家になりたい男だった。小さいときから父親が収集していた画集や写真集、ベトナム戦争の写真までを目にしていたようだ。
一方、母親は過干渉で、アート関連にはまったく興味がなかったという。進学校の女子高校を卒業したAKOが、大企業予備軍である有名大学に行かず多摩美術大学に進んだため、大きな禍根を残したらしい。だが、それらはすべて、現在のAKOの作品群の大きな源となっている。
【参考記事】過去のインスタ作品をすべて削除して、撮り始めたプロジェクト
今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
AKO @akolonic_
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