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参院選から見える日本の民主主義の3つの危機
2つ目は裏返し効果の問題です。安倍政権は、保守層に支持されているからこそ、令和の元号を1カ月前倒しで発表できたし、結果は潰されましたが朴槿恵(パク・クネ)政権との日韓合意もできたわけです。また真珠湾での献花も批判を浴びませんでした。ですが、こうした政策は左派的な性格の政権であったら、保守派が頑強に抵抗して立ち往生した可能性があります。
つまり右派に支持された政権の方が中道左派的な政策を安定的に行えるという「裏返し効果」が生まれたのです。政治は生き物なので、そうなる理屈は分かるのですが、民意の反映ということでは明らかにねじれています。これも現代ならではの、民主主義の機能不全の一種だと思うのです。
3つ目は統治能力の問題です。間接民主制の日本の場合は、総理の一歩手前までは、党内政治だけで登りつめることができますが、総理になった途端に国民との直接のコミュニケーションの場に「引きずり出され」てしまいます。また、最終的な決断を孤独に下さねばならないことも多くあります。そこで無能と思われれば、政権は瓦解します。
それでは政界として、あるいは国として、統治能力のある人材をどうやって育てていくのか、これは大きな問題だと思います。この問題に関しては、野党の人材難だけでなく、与党にも突きつけられています。「ポスト安倍」に関して、そろそろ真剣に考える時期ではないかと思われるからです。
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