コラム

フジテレビ「最大の経営危機」、本番はむしろこれからか...市場は「今後」をどう見ている?

2025年02月05日(水)17時02分
CM見合わせで業績悪化が予想されるフジテレビ

PIOTR PIATROUSKI/SHUTTERSTOCK

<株主や広告主、視聴者の信頼を回復してCM出稿見合わせが続く現在の状況を打破できなければ、フジHDの業績への悪影響は来期以降さらに深刻化することになる>

タレントの中居正広氏の女性トラブルをきっかけに、キー局であるフジテレビジョン(フジテレビ)がガバナンスの問題を厳しく指摘されるという前代未聞の事態となっている。このままでは、スポンサー企業によるCM出稿見合わせが継続する可能性が高く、同社経営陣はできるだけ早い決断が求められる。

この問題は、中居氏と被害女性との間に発生した個人的なトラブルに端を発しているが、資本市場から見た場合、中居氏と女性の間に発生したトラブルはあくまでプライベートなものであり、フジテレビがこの問題に組織的に関与していたのかが最大の関心事となっている。仮に組織的な関与が認められた場合、市場は同社がガバナンス上深刻な問題を抱えていると判断せざるを得ないだろう。


現在、同社はスポンサー企業のCM出稿見合わせによって、来期の業績見通しが立てにくい状況にある。同社の親会社で上場企業でもあるフジ・メディア・ホールディングスにおける2024年3月期の売上高は約5660億円となっている。

グループの中核子会社であるフジテレビの売上高は約2400億円と半分近くの割合を占める。フジテレビの売上高の約6割はテレビ放送を中心とした広告収入であり、CM出稿見合わせが相次ぐとグループ全体の業績に深刻な影響を与える可能性が高い。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:鯨幕相場に潜む「もう1頭のクジラ」、国内

ワールド

米ロが収監者交換、慈善団体への寄付巡り拘束の女性が

ビジネス

米GM、デトロイトEV工場で約200人一時解雇 生

ワールド

イラン、米との直接協議は「真のチャンス」 意図見極
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が見せた「全力のよろこび」に反響
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 10
    右にも左にもロシア機...米ステルス戦闘機コックピッ…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 9
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 10
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story