コラム

フジテレビ「最大の経営危機」、本番はむしろこれからか...市場は「今後」をどう見ている?

2025年02月05日(水)17時02分

広告が2割を超えて減少すれば赤字の危機

25年3月期までの広告については契約済みだが、新年度以降については現在、営業活動を行っている最中である。番組を買い切るタイム広告については通常、2クール(2四半期)ごとに契約されることが多いので、このまま見合わせが続くと26年3月期の業績は悪化せざるを得ない。

仮に広告が2割を超えて減少したとすると、グループ全体で獲得している経常利益が吹き飛ぶ計算となり赤字転落の可能性も取り沙汰されるだろう。


これまで、テレビ番組や芸能人の不祥事によって広告の見合わせが実施されることはあったが、テレビ局全体に対して多くのスポンサー企業が次々と広告を見合わせるのは前代未聞の事態であり、同社にとっては開局以来最大の危機と言ってよい。

フジテレビは当初、テレビを入れないクローズの形での会見を行い、設置を表明した調査委員会はグローバル基準を満たさないものだったことから多くの批判を浴びた。これを受けて第三者委員会の設置を表明したものの、3月末とされている期間までに十分な調査が実施できるのか現時点では不透明である。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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