コラム

「売れる車がない」日産は鴻海の傘下に? ホンダも今後は見通せず...「破談後」の厳しい未来

2025年02月27日(木)11時37分
ホンダとの経営統合が破談になった日産

TORU HANAI-REUTERS

<日産とホンダの経営統合の議論は、そもそもホンダ主導でなければまとまらない可能性が高いものだった。とはいえ、これから厳しい状況に直面するのはホンダも同じだ>

日産とホンダの経営統合が白紙撤回された。当初、共同持株会社を設立し、その傘下に日産とホンダが並ぶ形が想定されていたが、ホンダ側が日産の完全子会社化を望み、日産側が受け入れなかった。

白紙撤回によってホンダは単独成長が求められ、日産はかねてから同社に興味を示している台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループ入りするのか市場は注目している。

日産とホンダは2024年12月から経営統合に関する協議を続けてきたが、25年2月に入って、両社が協議打ち切りを発表した。


日産はかつてトヨタとトップ争いをしたこともある名門企業だが、放漫経営や組合と経営の癒着など醜聞が相次ぎ経営が悪化。1999年に仏ルノーが救済に入り、トップとしてカルロス・ゴーン氏が送り込まれリストラが進められた。

一時はV字回復したかにみえたが、その後は足踏み状態が続いており、20年には再び巨額赤字を計上するなど先行きが不安視されていた。

一方、ホンダは二輪車からスタートして独自の成長を遂げたものの、現在でも4輪車が相対的に弱いという状況が続いており、単独での生き残りについて疑問視する声が多かった。一時、ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)と連携し、共同開発の方向性など模索していたが、GMとの連携は事実上、頓挫した状態にある。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ニューヨーク渋滞税、トランプ政権が3月21日までの

ビジネス

トヨタの1月世界販売0.1%増、生産は1年ぶりプラ

ビジネス

米メルク、インド拠点で900人増員へ=上席副社長

ワールド

米、鳥インフル対策に最大10億ドルを支出へ=農務長
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほうがいい」と断言する金融商品
  • 3
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教育機会の格差
  • 4
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 5
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 6
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 7
    谷間が丸出し...際どいピンク下着で床を這う「無加工…
  • 8
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    老化は生まれる前から始まっていた...「スーパーエイ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 7
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story