- HOME
- コラム
- Edge of Europe
- 「王らしくない」「疲れて見える」...そんなチャー…
「王らしくない」「疲れて見える」...そんなチャールズ新国王のパイオニアな一面
また、チャールズはやり手ビジネスマンとしてもっとよく知られるべきだと僕は思う。少なくとも口先だけでなく自らのカネをつぎ込んでいるという点で。
持続可能な農業について語るだけでなく、チャールズの私邸「ハイグローブ」の農園はオーガニックにこだわって運営されている。今ではそこでの生産品は高級スーパーであるウェイトローズの全国の店舗で販売されている。
当然ながら「王室ブランド」というだけが売りだと言う人もいる。確かにそれもあるだろうが現実的には、王室ブランドなら商品の品質や価格に見合う価値などは全く気にしない、というほどスノッブでリッチな人はそうはいないだろう。
皇太子時代のチャールズは、「介入する」ことで知られていた(王となってからは明らかにもう少し慎重になるだろうが)。
例えば1988年のテレビ番組で、建築の現状を嘆いたことは有名だ。批評家たちは彼を知識のない素人だと言ったが、賛否はあれど彼の見解は、ガラスやコンクリート製巨大建築よりも伝統的な建物を好む一般大衆の考えにより近かった。ドーセット州パウンドベリーの街は、そんなチャールズの理念に従い、彼の支援を受けて設計されている。
これらから僕が言いたいのは、チャールズ国王が常に正しいのだということでもないし、ましてや天与の洞察力を持つとか特別な才能があるとかいうことでもない。建前上は「儀礼的」でしかない国王という役割に意味を持たせようと努力している、献身的で信念ある人物として彼をみてもいいのではないか、ということだ。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
シニカルなイギリス風ユーモアでスターマー英首相を斬ると... 2024.11.09
予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄道計画が迷走中 2024.10.31
今までもらった最高のアドバイスって何? 2024.10.12
イギリスのスターマー新首相が早くも支持急落...その3つの理由 2024.10.08
日本人の知らないレンガ建築の底知れない魅力 2024.09.21
愛らしく哀れみ誘う......そんなロバの印象を一変させた恐怖体験 2024.09.03
世界最高レベルの住宅街を舞う大量のインコ 2024.08.31