コラム

特権エリートに英国民が翻した反旗、イギリス人として投票直後に考えたこと

2016年06月28日(火)15時45分

 彼は今、オックスフォード大学総長を務めている。少なくともこの職に就くためには、選挙で選ばれる必要があった。それでも投票できるのはオックスフォード大学卒業生だけ。「エリートのお仲間」による選挙だ。

 だから僕は、イギリスが今まさに直面する最重要問題について一般国民が投票で意思表示をすることすらパッテンが認めないのは、あまりにひど過ぎる話だと思った。それはつまり、彼や彼の同類たちは、僕たち国民にとって何が最良なのかは、国民でなく彼らが決めるべきだと考えているということだ。

 記事を読んだとき、僕はムカついた。でも思い返せば、僕はパッテン卿が率直に胸の内を明かしたことを称賛すべきだった。まさにイギリス国民は、そんなお高くとまった国民蔑視に、反旗を翻したのだ。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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