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フーリガンの「パリ事件」に隠れた逆差別
サッカー観戦はオペラ観劇とは違う。仲間意識がかきたてられるし、好戦的になったりもする。もっとも今では、スタジアムやその周辺の安全は見違えるほど改善された。ある意味パリの事件がもたらした「ショック」は、サッカーがいかに安全なものになったかということの裏返しかもしれない。
僕が十代だった頃、黒人選手にボールが渡ると相手チームのサポーターが一斉にサルの鳴きまねをするのは当たり前の光景だった。ピッチにバナナが投げ込まれることもあった。人種がらみのののしり言葉はあちこちで耳にした。
ファンだけではない。黒人選手と契約したがらないチームもあった。同等のレベルでも、白人選手に比べて黒人選手の契約金は確実に安かった。そのため資金に乏しいクラブチームが黒人選手と契約することで、彼らの活躍の場を切り開いていった。
僕はウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンが3人もの黒人選手を同時に抱えていた珍しい時期を記憶している。それは実験的な試みのように見られていた。このチームが素晴らしい試合をした後、監督が「有色人種のどれか」がMVPに選ばれるべきだとコメントしたことがあったのも覚えている。これは称賛の皮をかぶった侮辱だ。いまの時代、こんな表現をする人間はいない。「フォワードの誰か」と言うか、名前を挙げるはずだ。
あからさまな人種差別主義者でない人々も偏見を抱えていた。僕は父親くらいの世代のサッカーファンが、こう言うのを聞いた――黒人選手は「生まれつきの才能」があるからチームに1人か2人いるのはけっこうだが、「サッカーをする知性」に欠けるから、それ以上いるのはよくない。
■階級の問題も潜む
パリの地下鉄でフーリガンが叫んだ言葉の使い方は興味深い。黒人が嫌いだから人種差別するのではなく、「差別したいから」するのだという。深読みは危険だが、フーリガンは「やりたいことをやる」、つまり悪ふざけや侮辱を楽しんでいるのだと言っている。こうした行動は群集心理から生まれるもので、人間が群れるとチンピラ集団に変わる理由でもある。
しかし同時に彼らの叫びからは、抑圧された人間特有の憎悪も感じられる。人種差別は最も邪悪で、人種問題に無神経なお前たちはモンスターだとか何とか、彼らも四六時中後ろ指をさされているからだ。
90年代前半から、サッカーの試合における人種差別的な掛け声は違法になった。差別的な発言をしたりツイートをしたりした人間は起訴される可能性があり、実際に何人かは実刑を受けている(フーリガンだけではないが)。誰かに向かってデブ、赤毛、ハゲ、ブス、あるいは思いつく限りの悪口を浴びせても法律には触れない。ただし、黒人と侮蔑するのはまずいのだ。
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