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なぜトランプは根強く支持されるのか──歴史観と人種問題に見るバイデンとの対立
この布石は、活動を私的に続けるためなのか、それとも4年後に共和党が政権を奪還したときのためなのか、それとも歴史の審判のためなのか。
しかし、予期されたことではあるが、この報告書はアメリカ歴史学協会(AHA)によって批判された。19世紀に設立された、プロの歴史家が集まる著名な組織である。
もともとトランプ氏の「1776年委員会」は、メンバーの中にアメリカ史の専門家が一人もいないことが、批判されてきた。
「この報告書は、実際には2つの主要なテーマで構成されている。一つは建国の父たちへのオマージュである。虚偽、不正確、省略、誤解を招くような記述に頼った、あまりにも単純すぎる解釈である。もう一つは、半世紀に渡る歴史研究方法に反対する、長ったらしい話である」と同協会は述べている。
この批判には、40以上の様々な団体が署名している。
アメリカ人類学協会(AAA)、アメリカ・カトリック歴史学会、アメリカ教会史学会、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー歴史コミッティ、アメリカ歴史家組織、南部歴史協会などである。
バイデン新大統領の「1776年委員会」の破棄
そしていよいよ1月20日、バイデン氏は大統領に就任した。
就任初日に、バイデン新大統領は「連邦政府を通じた、人種的公平性と、十分なサービスが行き届いていないコミュニティへの支援の推進」という名の、執行命令に署名した。
この命令の中で「1776年委員会」を破棄して解散させ、自身の新政策のビジョンを語っている。
機会均等はアメリカの民主主義の基盤であり、多様性は我が国の最大の強みの一つである。しかし、あまりにも多くの人にとって、アメリカンドリームは手の届かないままである。
したがって、連邦政府は、すべての人々のために公平性を高めるための、包括的なアプローチを追求するべきである。その中には、歴史的に十分なサービスを受けておらず、疎外され、続く貧困と不平等によって悪影響を受けてきた、有色や他の人々を含んでいる。これが私の政権の方針である。
命令は、公平性を推進するための国内政策評議会の創設を求めるとともに、不平等に対処する方法を検討するよう、行政管理予算局に要求している。
連邦政府全体で公平性を推進することで、歴史的に十分なサービスを受けてこなかったコミュニティを改善する機会をつくることができ、それはすべての人に利益をもたらすことになる。
例えば、賃金、住宅融資、融資機会、高等教育へのアクセスにおいて、人種間格差を解消することで、今後5年間でアメリカ経済のGDPが5兆ドル増加するという分析がある。
公平性を推進する連邦政府の目標は、すべての人が潜在能力を最大限に発揮する機会を提供することである。
バイデン大統領は具体的に、今まで十分なサービスを受けられなかった人たちを挙げている。
黒人、ラティーノ(ラテン系)、先住民、ネイティブ・アメリカン、アジア系アメリカ人、太平洋島民、その他の有色の人々。宗教的マイノリティのメンバー。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、およびクィア(LGBTQ+)の人々。障がい者。農村地域に住む人々。他の理由で続く貧困や不平等で悪影響を受けている人々。
──こういったすべてのアメリカ人が、自分の能力が十分に発揮できるよう、公平な機会を与える社会にしたいと述べた。
人間に対してこのような思想をもつジョー・バイデンに、アメリカは今後4年間の希望と未来を託したのだった。
※第2回に続く
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。
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