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若田光一宇宙飛行士に聞く宇宙視点のSDGs「宇宙ゴミ処理は日本がリードできる分野」
──最後になりますが、若田さんがこれまでに宇宙のミッションで掲げられてきた「和のリーダーシップ」をSDGsに活かすとしたら、どのようにしたらよいでしょうか?
SDGsの17番は「パートナーシップで目標を達成する」ですが、国際協力をするっていうのは難しいですよね。特に地政学的な様々な状況があったりすると難しいんですけども、より安定した平和な世界を築くことに国際宇宙ステーションは協力・貢献できているのかなと思います。(注:若田氏が参加した第68次ISS長期滞在には、NASAとロシアの宇宙飛行士も参加していた)
我々宇宙飛行士が求められていることは、いろんなトラブルに遭遇しても、チームの力で解決すること。チームというのは軌道上の宇宙飛行士だけでなく、筑波宇宙センターや世界各国の地上管制局なども含めたもので、この連携があって初めて、安全や実験の成果が得られます。
常に相手の立場になって、大きなチームのそれぞれを思いやりながら、意思疎通、コミュニケーションをしっかりとって、計画を進めていくということが大切です。パートナーシップでは「和」、つまり「ハーモニー」の気持ちというのを大切にして、国際協力を進めました。
特に今回のISS滞在では、想定外のトラブルがたくさんあったんですけど、そういったときこそチームの力というのがすごく大きな影響を与えました。チームの結束力があったから今回も無事に全員が生還できて、しかも同時に色々な成果を上げることができました。
宇宙開発において、アジア唯一のISSの参加国である日本が果たしていく役割は大きいと思いますし、ISSで我々が培った信頼っていうのは、次の月探査にも大きく広めていく必要があります。今後は、これまで経験させてもらったことを活かして、月探査にも貢献したいと思っています。
地球を文字通り外側から見た経験が豊富な若田宇宙飛行士に、実体験を交えながら「宇宙視点のSDGs」について語っていただきました。
私たちも、宇宙から地球を俯瞰するような広い視野を持って、SDGsを考えたいですね。
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