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2023年秋、AI業界勢力図② Metaがオープンソースで大暴れ
Metaがライバルの差別化戦略を無効に
そんな中、この対立構造を狂わせる新たなプレーヤーが登場した。Meta(Facebook)である。Metaが自社開発の言語モデルLlaMA2を、一般企業も一定限度まで無料で使えるオープンソースのモデルとしてリリースしたのだ。
なぜMetaはオープンソースとして言語モデルをリリースしたのだろうか。1つには、Metaがクラウド事業を持っていないからという理由が考えられる。クラウド事業を持っていないので、自社開発のAIモデルで一般企業を自社クラウドに呼び込む必要がないからだ。
LlaMA2が無料になったことで、 一般企業がMicrosoftのOpenAIのモデルや GoogleのPaLM2から、MetaのLlaMA2に流れ始めている。MetaはLlaMA2で儲けようともしておらず、ただ単にMicrosoftや Googleに嫌がらせしているようにも見える。
しかしMetaにはMetaの思惑がある。実は優秀な研究者の中には、オープンソースの支持者が多い。AIは人類全体にとって非常に有益な技術なので少数の企業がAIを独占するのは好ましくない。そう考える研究者が多いのだ。Metaがオープンソースの動きを牽引していることで、優秀な研究者がMetaに集まってきている。これがMetaにとって大きなメリットの1つだ。
もう一つ、オープンソースにすることでAI業界への圧倒的な影響力を手にできるかもしれないというメリットがある。事実、MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、LlaMA2をオープンソースにすることで、LlaMA2を AI産業のインフラ的存在に育て上げたいとYouTubeにアップされた動画インタビューの中で話している。
基本技術を無料で提供することで、大きな影響力を手にした企業の前例がある。Googleが開発したスマートフォンの基本ソフトであるAndroidは、オープンソースのソフトだ。多くのスマホメーカーがAndroidを搭載したスマホを開発して販売しているが、GoogleはAndroidを提供しても、スマホメーカーから一円ももらっていない。
しかし無料で提供することでAndroidの市場シェアが拡大する。多くの人がAndroidを使えば、そこに搭載されているGoogle検索を利用することになる。Google検索には広告が表示され、その広告代金はGoolgeの収益になる。オープンソースソフトは直接的には収入源にはならないが、回り回って多くの収益をGoogleにもたらしている。ザッカーバーグ氏は同様の結果を期待しているわけだ。同氏のより具体的な戦略に関しては、アプリレイヤーの記事の中で詳しく解説したい。
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