米関税「予想上回る」、物価高と成長鈍化の恐れ 不確実性高い=FRB議長

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、トランプ大統領の新たな関税措置は「予想以上に大きく」、インフレや成長などへの経済的影響も同様に予想以上となる公算が大きいという見解を示した。1月撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、トランプ大統領の新たな関税措置は「予想以上に大きく」、インフレや成長などへの影響も同様に予想以上となる公算が大きいという見解を示した。
パウエル議長はビジネスジャーナリスト向けのイベントで講演し、「失業率の上昇とインフレの上昇という双方のリスクが高まる非常に不確実な見通しに直面している」とし、物価安定と最大雇用というFRBの二大責務の達成を脅かす恐れがあるとした。
FRBの役割は、トランプ政権の政策にコメントすることではなく、経済に及ぼす影響に反応することと強調した上で、「不確実性は依然として高いが、関税の引き上げが予想以上に大きいことが明らかになりつつある」とし、「経済への影響も予想以上に大きくなる可能性が高く、インフレの上昇と成長の鈍化を伴うだろう」という認識を示した。
さらに「関税が少なくとも一時的にインフレを高進させる公算が大きいものの、その影響がさらに持続的となる可能性もある」と指摘。「そうした結果を避けるため、長期インフレ期待を十分に安定させ、物価の一時的な上昇が持続的なインフレ問題に発展しないよう確実にすることがわれわれの責務だ」と述べた。
その上で「政策スタンスの調整を検討する前に、われわれはより明確な状況を見極めることが可能な態勢にある。金融政策の適切な道筋を決定するのは時期尚早だ」と述べた。
「ハードデータとソフトデータ間にある緊張を注視している。(政権の)新たな政策と起こり得る影響が明確になるにつれて、経済や金融政策への影響についても把握できるようになるだろう」とした。
<FRB見通しに景気後退含まれず、不確実性は高い>
パウエル氏は、FRBの見通しに景気後退の予測は含まれていないと言及。一方、民間部門では景気後退入りの予測が出ており、トランプ政権が発表した新たな関税措置受け、その可能性が引き上げられていると指摘。ただ、引き上げられているとは言え、極めて低い水準からの引き上げになると語った。
関税については「ほぼ全ての予想を上回った」とし、状況がどう展開するか現時点ではわからないとの認識を示した。
経済と政府政策を巡る不確実性を背景に、企業は様子見姿勢を取っているとも指摘。「人々は事態が明確になるのを待っている」とし、不確実性は最終的には解消するとの見方を示しながらも、現時点で慎重になることは「正しいことのように思える」と語った。
こうした中でも、FRBが担う物価安定と雇用最大化の2つの責務の間に矛盾はないと言及。インフレ率を目標とする2%に引き下げながら、労働市場の力強さを維持するということに「緊張関係はない」とし、「1970年代のように2つの責務が反対方向に向かっているような状況にはない」と述べた。
問題が生じれば難しい舵取りを迫られるとしながらも、「現在はそうした状況に置かれていない」と語った。
<市場は年内4回の0.25%ポイント利下げを予想>
ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスチャンティック氏は「トランプ大統領がパウエル議長の講演直前に改めて利下げを求めたが、パウエル氏の発言で、FRBが近いうちに利下げを急ぐ態勢にはないとの見方が裏付けられた」とし、予想されるインフレ加速を背景に、FRBは利下げを第4・四半期まで待つとの予測を維持すると述べた。
トランプ大統領の関税措置により、米国への輸入品に対する平均関税率は最大27%になるとの試算も出ている。バイデン前政権末期は約2.5%だった。
市場では現在、FRBが0.25%ポイントの幅での利下げを年内に4回実施すると予想されている。トランプ氏が関税措置を発表する前の予想は3回だった。