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2023年秋、AI業界勢力図② Metaがオープンソースで大暴れ
一国一城の戦国時代に
さてでは、クラウドのレイヤーの勢力図について詳しく解説したい。もともとAmazon、Microsoft、Googleのクラウド3強は、自社開発のAIモデルを自社クラウドでのみ展開することで競争してきた。そこにChatGPTを引き下げてOpenAIが彗星のごとく現れた。Microsoftは早速、OpenAIとスクラムを組み、Amazon、Googleより、一歩抜きに出ようとした。特にMicrosoft、Open AIの連合軍が、対Googleで先行するように見えた。
そこにMetaがLlaMA2を無料でリリースし、一般企業の注目を集め始めた。Microsoftの動きは早く、同社がLlaMA2の優先パートナーになったと発表。MetaがMicrosoft、OpenAI連合に加わって、Googleはさらに窮地に追い込まれたように見えた。事実、日本のIT業界の関係者の中には、これでGoogleも終わったかのようにSNS上で論評する人もいた。
しかし、MetaはMicrosoftのみならず、続けてAmazonにもLlaMA2を提供。最近ではGoogleにもLlaMA2を提供すると発表している。Microsoft連合に加担したのではなく、クラウド3強との等距離外交戦略を取ったわけだ。
一方、MicrosoftがLlaMA2の優先パートナーとなってことをおもしろく思わないのがOpenAIだ。LlaMA2が無料でリリースされたことで、LlaMA2がOpen AIのGPTモデルの最大のライバルになった。そのLlaMA2を、盟友だと思っていたMicrosoftが優先的に取り扱うと発表したわけだ。
そっちがそう出るのなら、こっちも、ということで、Open AIはChatGPTの企業向けバージョンを提供し始めた。これまでOpenAIはChatGPTを消費者向け市場にのみ提供し、企業向けバージョンは盟友Microsoftに任せていた。OpenAIはメーカーに徹し、ディーラーであるMicrosoftの邪魔をしないというような関係だった。それがついに企業向けバージョンでMicrosoftに対抗し始めたのだ。
もはや連合軍など存在しない。AI業界は一国一城の戦国時代に入ったわけだ。
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