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最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性

山本彌生|アメリカ

子どもだけじゃない! 社会人こそ必須『思考力×多様な視点』 ~ ポートランド発 4つのヒント

Photo | Catlin Gabel School, Oregon USA

就任からわずか1か月半。相次ぐ大統領令に加え、発言の一つひとつが世界中の人々を驚かせています。

その大統領令の一つが、『極端かつ無駄な政府のDEIプログラムと優遇措置の廃止』です。

実は、このDEI(多様性、公平性、包摂性)活動の廃止は、将来を担う子どもたちの教育現場にも大きな影響を及ぼしています。

そこで、今回はあえて、米国の教育方針に左右されない独自の教育を実践する『独立系進学私立校』にフォーカス。教育現場のダイバーシティー担当者に独自のDEIの取り組みについて特別取材を敢行。

近年、日米の有識者が口をそろえて言う「グローバル感覚を育て、企業を成長させるには、基本教育の変革こそがカギ!

変化の激しい今だからこそ、子どもから大人まで今すぐ実践できる『思考を広げる必須のヒント』。

これからの時代に求められるものとは何か? どう変えればいいのか?

その答えを探ります。

newsweekjp_20250303185643.jpgPhoto | Catlin Gabel School, Oregon USA

|独立系進学私立校・キャトリン・ゲーブル・スクールの取り組み

日本の教育の基本となっているのが、「学習指導要領」。

国公私立を問わず小学校から高校まで、この指導要領に基づいて授業が計画・実施されているのは、ご存じのことと思います。

では米国はどうでしょうか。

実は、州ごとに教育のルールが決められていることから、全国共通の決まりというものがないのです。

さらに米国には、Independent School(独立系私立校)と呼ばれる、日本にはないスタイルの私立校が約1500校あります。

政府の教育方針に縛られず、独自のカリキュラムで運営されている独立系私立校のひとつ。それが、ポートランドにあるキャトリン・ゲーブル・スクール(以下、キャトリン校)です。

ダウンタウンから車で約10分。大学のような広大なキャンパスを持ち、生徒一人ひとりに最適化された学習環境を提供することでも知られています。

幼稚園から高校までの一貫校でありながら、エスカレーター式の進級制度をとらず。それでもなお、オレゴン州トップの進学校として「自主性を重んじる教育」を実践する同校。小規模なクラス編成を活かし、一人ひとりが各教科に深く取り組める環境を整えているのも特徴です。

「生徒たちは、教師のサポートを受けながら、自分に合った学習方法を模索していきます。同時に、クラスメイトと知識を共有しながら、自ら考え、探求する力を有機的に育める環境が整えられています。

例えば、初等教育では、教師との対話を通じて自分の意見を言葉にする練習。くわえて、安心して発言できる環境であるクラス内で考えを発表し、仲間の多様な意見に有機的に触れながら学びを深めていきます。

こうした初等教育時期での取り組みが、単なる知識の習得を超え、他者への尊重や協力の精神の育成につながっていくのです。

さらに、中・高校生になると、学校運営や地域社会でリーダーとして活躍する機会が増え、主体的に関わる場が設けられていきます。

日常のカリキュラムに実践的な活動を組み込むことで、多様な思考や問題解決能力が自然と培われていきます。

このように、生徒が実践的な経験を通じてリーダーシップや協調性を養い、自己表現や問題解決能力を自然と身につけられるようなプログラムを提供していると言います。


newsweekjp_20250303190206.jpegPhoto | Catlin Gabel School, Oregon USA



|『 テストの点より、学びの質 』 ~
キャトリン校が大切にする教育


「教育機関の役割は、知識を教え伝えるだけでなく、社会の変化に対応できる『クリティカル・シンキング(物事を多角的に捉え、論理的に判断する力)』を育むことにあります。

生徒たちが自らの信念を持ち、それをどのように表現し、行動へとつなげていくか。その部分をしっかりとサポートすることが大切です。さらに・・・」

次ページ :テストの点数を最優先しないのに、驚くほど優れた学力試験結果が!

大人も子どもも。今日から実践できる『思考力×多様な視点』4つのヒント。

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著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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