
最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性
子どもだけじゃない! 社会人こそ必須『思考力×多様な視点』 ~ ポートランド発 4つのヒント

Photo | Catlin Gabel School, Oregon USA
「ただ知識を伝えるだけでなく、生徒が自分の考えや感じたことを表現し、それを周りと分かち合うことで、未来への一歩を踏み出す大切な『ヒント』が得られる環境が整えられています。
同校では、暗記やテストの点数を最優先していません。その代わりに、「体験型学習」と「総合的育成教育(Whole Child Approach)」を重視し、生徒の主体性を育むことに力を注いでいるのが特徴です。」公平性・包括性部門の代表であるコニーさんは、驚きのヒントをさらに語り続けます。
一見、逆説的に思えるかもしれませんが、キャトリン校の生徒は長年にわたり、全米規模の学力試験で常に優れた成果を上げています。」
ちなみに、卒業生はハーバードやスタンフォードをはじめ、世界のトップ大学へと進学しているそうです。
では、その秘訣とは一体何なのでしょうか?
|『 問い続ける力が未来をつくる 』~ 創造的思考を育む教育
「深い学びの鍵。それは、生徒自身が問いを立てることにあります。
『この問題・テーマにおいて、気になる最大のポイントは何なのか?』『それはなぜ大切なのか?』
このように考えることで、思考と学びは更に深まっていくからです。
教師は興味を深める道筋を示し。同時に、生徒は必要な知識を学びながら、プロジェクトを通じて応用できるように進んで行く。すると、学びが単なる情報のインプットではなく、生徒の中にしっかりと根付いていくことになります。
さらに、課題に向き合い、異なる視点によって、答えを探す力も養われます。また、最後までやり遂げる粘り強さも身につきます。
くわえて、グループプロジェクトでは、多様なスキルを持つ仲間と協力する経験を積みながら、より深く広い学びを深めていくことにも繋がるのです。」
現代に必要な柔軟な思考力を育てる鍵。それは、『テストのための学習だけではなく、人生のための学習』。
そこで、子どもから大人まで今すぐ実践できる 『思考力x多様な視点』のヒントを特別にアドバイスしていただきました。

| 大人も子どもも ~ 今日から実践できる『思考力×多様な視点』4つのヒント
① 対話を重視し、他者の考えを理解する力を養う
ディスカッションは、相手を打ち負かすということが目的ではありません。また、自分の意見を一方的に伝える場でもありません。
ディスカッションとは、異なる考えに触れ、それをどう受け止めるか。それこそが、本当の学びにつながるのです。
例えば、意見が対立したとき。「この人はなぜそう考えるのだろう?」と、一歩引いて考えてみる。相手の立場や背景を想像しながら耳を傾ける。それだけで、議論の質は大きく変わります。
対話とは、勝ち負けを決めるものではなく、新しい視点を手に入れる機会です。そうした姿勢が、思考をより豊かにし、より深い理解へとつながっていくはずです。
②「正解」を求めるのではなく、多様な答えを考え、議論する場を増やす
今の時代、正しい答えは一つではありません。答えは、人の数ほどあるのです。
ですから、現在の社会問題について議論をしながら、異なる視点を取り入れる機会を意識的に持ってみることをお勧めします。
例えば、ディスカッションや会議の場で、立場の異なる意見に心をニュートラルにして耳を傾ける。ケーススタディやロールプレイを活用し、多角的に物事を考える習慣をつける。こうした経験が、柔軟な思考力を養うことにつながります。
③ 学びを実践の場へとつなげる
プロジェクト型学習やフィールドワークを取り入れ、知識を応用しながら、あなた自身による新たな発見をする。
例えば、社会課題をテーマにしたプロジェクトを立ち上げ、フィールドワークを通じて多様な視点から解決策を考えてみるのも一つの方法です。
実際に行動することで、机上の知識がより深く定着し、新たな視点が生まれるはずです。
④「自分で選ぶ」「決断する」ことを考え、経験を増やす
日々の選択を意識して、自分の考えで決める機会を増やすことが大切です。
小さなことから決断を積み重ねることで、主体性や自己効力感が育まれます。少しずつ、自分の判断に自信を持ち、行動に移す力が自然と身についていくのではないでしょうか。

日々の小さな積み重ねこそが、広い視野を育み、世界とつながる基盤になります。
そして、そのつながりは、思っているよりもずっと近くにあるのかもしれません。
日米をはじめ、世界中で教育者が置かれた環境は厳しさを増しています。
その負担は、コミュニティの健全な意識の変化と支えによって、社会そのものが変わっていくことへの希望につながるはずです。
未来をつくるのは、学校だけではないはずです。
私たち一人ひとりの日々の選択こそが、これからの社会を形づくっていくと感じます。
記:各回にご登場いただいた方や記載団体に関するお問い合わせは、直接山本迄ご連絡頂ければ幸いです。本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください。次回は、【2025年ポートランドとオレゴンの『今!』】 を深掘り!
㊙特別ゲストが語る、ここだけのポートランド最新トピック! 日系メディア初公開となる、ホットな話題をお届けします。2025年4月初旬に掲載です。

- 山本彌生
企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。
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協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)