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イタリア事情斜め読み
日本とイタリアにおけるカジノ規制の違いについて
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オンラインカジノの利用が日本国内で急増している中、それに対する法的規制と摘発の強化が進んでいる。2024年、警察庁による摘発件数は279人に達し、前年度の約2.6倍となった。これらの摘発の中には、暗号資産を使用して違法にオンラインカジノで賭博を行った事例も含まれている。
このような状況を受け、日本国内でのカジノ規制の強化が進んでおり、多くの利用者がその違法性を認識していないまま巻き込まれている現実がある。
日本のオンラインカジノに対する規制は非常に厳しく、海外で合法的に運営されているカジノでも、国内から接続して賭博を行うこと自体が犯罪とされている。
具体的には、賭博罪に該当し、違法行為を行った場合、刑罰が科される可能性がある。これに対して、イタリアではカジノの存在自体は合法であり、その運営には一定の規制と制限があるが、日本とは異なる事情が存在する。
イタリアにおけるギャンブルの合法性は、非常に細かい規定によって管理されている。法律上、地上のカジノでの賭けは基本的には禁止されている。
しかし、イタリアには数か所のカジノが営業しており、それらは特例として営業を許可されている。これらのカジノは、いわゆる「例外的な認可」を受けて営業しており、特定の条件下で営業を行っている。なぜイタリアにおいてカジノが存在し、その運営が許可されているのかを理解するためには、歴史的な背景と共にその経済的な影響を探る必要がある。
| イタリアにおけるカジノの歴史と現状
ヴェネツィアにある世界最古のカジノ「カジノ・ディ・ヴェネツィア」は1638年に設立され、その後、イタリア各地でカジノがオープンした。
ギャンブルに対する規制が厳しくなると、多くのカジノは営業を停止し、撤退を余儀なくされた。しかし、イタリアに残った4つのカジノは特殊な規制を受けており、運営が許可されている。
その理由は、イタリアが国境を越えたギャンブル市場に対する対策として、これらのカジノに特別な営業許可を与えたためである。
- ヴェネツィアのカジノ
- サンレモのカジノ
- サン・ヴァンセンツのカジノ
- カンピオーネ・ダ・イタリアのカジノ
これらのカジノは、イタリア国内でも特異な立ち位置にある施設である。
それぞれのカジノがどのような背景を持ち、どのような経済的影響を与えているのかについても考察する必要がある。
| オンラインカジノの合法性
オンラインカジノの合法性については、イタリア政府がどのような取り組みを行っているかを理解することが重要である。イタリアでは、オンラインギャンブルの規制が徐々に整備され、現在では合法的に運営されるオンラインカジノが増加している。
イタリアのオンラインギャンブルの市場は急速に成長しており、その需要に応じた法的枠組みが整備されている。
イタリア政府は、ギャンブル産業を合法化することで、国内市場を規制し、ユーザー保護を強化しようとしている。
| ギャンブル産業の監視と規制
イタリアのギャンブル産業を監視するためには、特定の機関が関与している。AAMS(イタリアのギャンブル監督機関)や、後の関税と独占庁(ADM)は、ギャンブル業界を監視し、規制を強化する役割を担っている。
これらの機関は、合法的なカジノやオンラインサイトにライセンスを付与し、消費者保護を強化している。しかし、違法ギャンブルのリスクは依然として存在しており、その取り締まりが課題となっている。
違法ギャンブル市場の規模
イタリアの違法ギャンブル市場は非常に大きな規模を誇る。統計によると、イタリアの違法ギャンブル市場は約250億ユーロに達しており、その75%がオンラインギャンブル、25%が実店舗での違法ギャンブルによるものである。
この市場規模の拡大に伴い、イタリア政府は違法ギャンブルに対する対策を強化し、厳格な規制を導入している。
| 日本におけるオンラインカジノの現状
日本国内では、オンラインカジノが合法でないという認識が浸透していないのが現状だ。24時間アクセス可能なオンラインカジノは、その手軽さから多くの人々を引き寄せ、知らずに違法行為に加担してしまうケースが後を絶たない。
「広告で流れてくる」「気軽にやってみようと思った」といった意見が多く聞かれるようだが、これが日本におけるオンラインカジノの問題点の一つである。
実際、オンラインでギャンブルを行うことが違法であるという認識を持っていないまま、賭け事に手を出してしまう人々が多い。
その結果、警察庁は暗号資産を使ったオンラインカジノの利用者を特定するために、独自の解析ツールを使用して摘発を行っているそうだ。
こうしたツールにより、賭博を行った個人の特定が可能となり、今後も摘発件数は増加する可能性がある。昨今では、著名な人物も巻き込まれる事例が報告されており、社会的にも大きな影響を与えている。
警視庁「オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!」
消費者庁 「日本国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です!」
政府広報オンライン「オンラインカジノによる賭博は犯罪です!」
| イタリアのカジノにおける規制と合法性
一方、イタリアにおけるカジノは、その運営に関して異なる背景を持っている。
イタリアではかつて、多くの地域でカジノが存在したが、ギャンブルが違法視され、施設が次々に閉鎖された。
しかし、イタリアの一部のカジノは、特例として存続しており、その運営には政府からの許可が必要である。例えば、ヴェネツィアやサンレモなど、外国の国境近くに位置する4つのカジノは、特別な許可を受けて営業を続けている。これは、イタリア人が近隣国のカジノでギャンブルを楽しんでいたため、それに対応するために残された措置である。
イタリアにおけるカジノの合法性は、ギャンブルが違法であるという原則を尊重しつつも、国際的な競争力を持つ観光地としての経済的なニーズを反映している。
こうしたカジノも厳格な規制下で運営されており、無許可で運営されることは認められていない。
オンラインギャンブルに関しても、イタリアの政府はライセンスを発行し、国内のプレイヤーが合法的にギャンブルを楽しむための仕組みを整備している。
なので、プレイヤーは不正なカジノサイトやスロットマシンに巻き込まれるリスクを避けることができる。
| 日本とイタリアの規制の違い
日本とイタリアのカジノに対する規制の違いは、主に法的な背景と社会的な受容の差に起因している。
日本では、オンラインカジノが国内からアクセスされること自体が犯罪であり、その規制は非常に厳格である。
日本国内でオンラインカジノに接続して賭博を行うことは、いかなる理由があっても認められていない。さらに、規制の強化が進んでおり、違法行為を行った者に対する摘発が増加している。
一方、イタリアでは、国内におけるカジノの存在自体が合法であり、特定の地域で運営されるカジノは政府によって許可を受けて営業を行っている。
オンラインカジノに関しても、合法的にライセンスを受けたサイトであれば、イタリア国内での利用が許可されている。
イタリアにおいては、プレイヤーは合法的にカジノゲームを楽しむことができ、規制が設けられた環境下で安全にギャンブルを行うことができる。
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- ヴィズマーラ恵子
イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie