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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです
在日フランス人が見ている日本
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現在、ちょっとだけフランスを離れて、日本に一時帰国をしており、日本にいる友人たちと食事に行ったり、旅行をしたり、あらためて、日本の良さ、素晴らしさを改めて思い知らされています。この私の一時帰国には、フランスで育ち、日本で働いている娘に会えること、そして、その生活ぶりを見守りたいことも含まれています。
今年でそろそろ3年目になる娘の日本での生活は、概ね順調で、バリバリと忙しく仕事をこなし、また、仕事だけではなく、その合間を縫って、あちこちを旅行やスポーツを楽しみながら、エネルギッシュに日本での生活を満喫しているようで、少しホッとしています。
特に娘が日本で生活するにあたって、心配していたことは、いわゆる日本での社会生活と自分自身にうまく折り合いをつけて生活できるのだろうか?心を許せる友人に出会えるだろうか?といった人間関係についてでしたが、簡単に言えば、彼女は彼女なりの世界を日本で上手に構築していっているようです。
彼女が働いている会社はフランスの会社なのですが、周囲のスタッフはほぼ日本人、そのかなり上のポジションには、フランス人がいるにはいるのですが、周囲はほぼ日本で生まれ育ち、日本で教育を受け、日本で働いてきた日本人が大多数で、中には彼女のようなフランスで育った人(フランス人)やアメリカ人等の外国人も混ざっている・・そんな感じなようです。会社での周囲の人々とは日本語で、外国人も混ざった会議などでは、共通言語としては英語で、フランス人とはフランス語でコミニュケーションしているようです。
彼女のプライベートな友人関係は、彼女と同じように日本で仕事をしているフランス人を中心とした外国人が多いようで、彼らが日本への印象や日本での生活、フランスと比較してみて、どんなふうに思っているかを聞くにつけ、なかなか興味深く、おそらく日本人にとっても参考になるのでは?と感じたので、今回は、彼らがどんなふうに日本を、日本社会を見ているかを書きたいと思います。
日本が好き、フランスに帰るとウンザリすることが多いけど・・
さすがに、誰に強制されたわけでもないのに、自分の生まれ育った国を離れて、わざわざ、フランスからあまり近くもなく、文化的には、かなり異なる日本で仕事をし、生活している人々なので、日本贔屓の人、日本が好きな人が多いのは、当然といえば、当然のことです。
なぜ?日本が好きなのか?日本のどこが好きなのか?という、外国人が日本のどのような部分を評価?してくれているのか?ということは、日本人として、興味があることでもあります。ある意味では、現在、彼らは日本に住んでいない私よりも、現在の日本を知っている部分があると思いますが、まず、日本が好きな理由は、街が清潔できれい、色々なことがスムーズに運ぶ、美しい自然環境がたくさんある、食べ物が安くて美味しい・・などなどを挙げており、日本人があたりまえのこととして、その価値を充分に自覚していないかもしれないことを大いに評価してくれているような、そんな印象を受けます。中には、フランス(パリ)に一時帰国したりした際に、日本と比較して、あまりにパリが汚かったり(清潔ではないということ)、様々な対応が杜撰であったり、もはや私としては、逆に慣れてしまいつつある、ストライキなどで交通が麻痺してしまう環境に、「もうフランス(パリ)には帰りたくない」などと言い出す人までいるようです。しかし、これは一概に全てを文字どおり受け取ることはできず、概して、海外に出た人が自国に帰りたくない感情を抱きやすいという現象も含まれているだろうと思いつつ、いずれにせよ、日本人としては、日本を好意的に見てくれるということは嬉しいことに違いありません。
これは、娘の周囲にいる人々の話なので、年代的にも20代後半から30代にかけての比較的若い人々の話なので、全てのフランス人を代表しているわけではありません。
しかし、そんな彼らも日本(日本人)の全てを良いと言っているわけではなく、「日本のこんなところがダメだ」と思っている部分もあることは見逃せない事実です。
それは、個人差はあるとしても、日本の会社などの組織の中で働いてみると、「なんとなくホワッとした認識」の中でものごとが進んでいくことが多く、論理的に簡潔に事象を共通に把握しないことから、非常に効率が悪いということらしいです。これは私としては、理解できないでもないのですが、日本特有の「暗黙の了解で敢えて、ものごとをはっきりさせない文化」とか、敢えて言葉にしないことが美徳といった日本ならではの習慣というか文化が影響しているようにも思うのですが、そんなことが彼らにとっては理解し難く非効率に映るのかもしれません。
しかし、ここで再び敢えて言わせてもらえば、フランス社会が効率的に動いているかと言えば、決してそうではないわけです。ただ、日本に来て、仕事をしている彼らはフランスで働くとしても、かなりのポジションにいる人々の話であり、そういう人々が働く会社では、日本のような、「なんとなくホワッとした認識で組織が動いていくということはあり得ないと彼らは言っているのであって、決して、一般的?なフランス人?ではないことを追記しておきます。
しかし、結果的には、彼らは日本での生活を非常に快適で住みやすい環境として認めています。
日本が好きだけど、日本で子育てしたくない
ただし、そんな彼らも「一生日本に住みたいか?」と言われれば、答えは「ノー」なのです。そして、また、その答えがある意味、衝撃的でした。将来、自分が子どもを持った時、「自分の子どもを日本で教育したくない」というのです。これは少子化問題を抱える日本にとって、日本の教育を考えていくうえで、大いに参考にしていいことではないか?と思うのです。彼らがいうには、「日本の教育には、子どもの頃から、自分の意見を個々がしっかりと持ち、その意見を理論的に構築して、それを相手にしっかりと伝え、発表するという点が欠けている・・」とのこと。そして、それが教育には、とても重要であると彼らは考えているということです。それは、私自身がフランスで教育を受けてきた娘の学校での授業や彼女が書いていたレポートや論文などを見ていても感じたことで、「たしかにな・・」と思うところでもあります。
たしかに日本でも学校によっては、そういった教育を重視している学校もあるにはあるでしょうが、そんな学校を自分たちは、見つけ出せないし、少なくとも、フランスであるならば、自分たちが教育を受けてきた現場を知っているし、判断も選択もしやすいとのこと。そんな自己形成の基盤ができた段階で、海外で働くことを選ぶのは大いに結構なのだそうです。しかし、フランスにしても、日本にしても、一度、海外に出てみることがとても意義のあることであることも彼らの共通認識の一つでもあるようです。
しかし、そんな考え方は大いに理解できるとはいえ、「日本大好き!生活しやすい!美しい!美味しい!きちんとしている!」などと評価してもらいながらも、肝心なところ?で、「自分の子どもは日本で育てたくない」というのは、かなり痛烈な日本批判でショッキングでもあります。悪い見方をすれば、日本に未来はないと言われているようなものです。
とはいえ、彼らもフランスの中では、かなり特別な教育を受けてきた人々、一般的に彼らの言う「教育」が一般的なフランスの教育と言えるものではなく、ただ、彼らはその成功例を辿ってきたので、ある意味、一般的な話として受け取るのはちょっと違うかもしれません。ただし、日本の教育について、足りない部分の指摘は、私としては、充分に納得できるものでもあります。
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- RIKAママ
フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。
ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」
Twitter:@OoieR