イタリア事情斜め読み
タトゥーで警察官が処分から見るイタリアのタトゥー事情
| 国務院の判決からみえた、刺青・タトゥーに対するイタリアの文化背景
国務院が刺青に対して厳格な路線を打ち立てることを去年の3月に確信したのはなぜなのか謎であるが、
イタリアでは、刺青(タトゥー)はその昔から船員と囚人だけが入れるものであるという時代があった。その時代の規範が残っており、警察の法律は厳しいままだ。
刺青(タトゥー)がある者は自己申告にて事前に申請登録をすることで許可をするという多数の判決が過去にはあったが、
現在はその登録申請制もなくなり、逃げ道的な扉も国務院は厳しく閉ざした。
現在も、手首、前腕、首などの目に見える領域に、小さな装飾を施したデザインタトゥーであっても、停職処分になるか刑務所警察などへ配置転換されるという。
前腕に鷲の刺青(タトゥー)が入っていると公序良俗に基づくものではないと言うことになるのだろうか、手首に娘の名前を刺青(タトゥー)しているから犯罪者を追って逮捕する事はできないと言うのだろうか。
8月18日、ミラノの警察署に勤務してた2人の婦人警官サラとヴァレリアも処分された
サラは、サラのために亡くなった叔父の頭文字が付いた星のタトゥー、ヴァレリアは音符のタトゥーがそれぞれ見つかり、停職処分を受けた。
解雇をされたわけでは無いが、事実上、勤務はできないし収入源を絶たれ現在も無職だ。
解雇をされていない現状では、警察官は副業が許されていないので、新しい仕事を探して就職活動をすることも面接試験も受けられない。
政府はまた、これまでに受け取った給与、それぞれおよそ7,000ユーロ(約87万円)を国に返済するように彼女達に要求した。
近年、一部、解釈の厳密さを緩和する動きもある。
農業政策大臣のジャンマルコ・チェンティナーイオ(北部同盟)は9つの刺青を持っているし、経済開発大臣のカルロ・カレンダは酔っぱらった勢いで入れてしまった蜘蛛(くも)の刺青がある。
時代は変わり、刺青(タトゥー)を入れているほとんどの人がアーティスティックなものであったりファッションアイテムの一部として気軽に入れている人がいる。
刺青(タトゥー)は悪人か反社的逸脱者を記すアイテムでそういう人物像が体に彫り物をするというイメージを持っている人は少ないようだ。
イタリアでは、どのスイミングプールでも、片手で数えることができるほどではあるが、タトゥーを1つも持たず無傷の肌で泳いでいる30歳未満の男女はいることにはいる。
著者プロフィール
- ヴィズマーラ恵子
イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie