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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツ西部で外国人嫌悪が増加! 差別は日常生活の一部?

西部・人々の感情が明らかに変化 

前出のデッカー教授は、 「今年の調査では、特にドイツ西部で感情が明らかに変化している」と語っている。

西部では、一貫して外国人嫌いの世界観を持つ人の割合が、19.3%に上昇した(2022年は12.6%)。 「外国人嫌悪は国際的に共有される憤りとなっている」と、同調査の共同リーダーのブレーラー教授。

ドイツが「外国人で溢れかえっている」という意見に同意したのは、西部の回答者の31.1%だった(2022年は22.7%)。 特にAfDの有権者は61%で、一貫して外国人嫌いの世界観を持っている。

この調査によると、多くの人々が将来に不安を感じているという。一方で今回紹介したデータが示すように、社会における多様性や外国人に対する意識は、時と共に変わっていくもの。これらの調査を通じて、どのようにしたら国民の理解を深め、共生を促進できるのか考えることが大切になってくる。

参考までに。ドイツ総人口8323万人における外国人の割合は15.2%(約1257万人)。(2023年ドイツ連邦統計局)

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ライプツィヒ大学による2024年の調査対象は、ドイツ東部及び西部の2,500人で、インタビュアーが自宅を訪問し、政治的態度に関する質問表を配布した。回答希望者は自己記入の質問表を封筒に入れてインタビュアーに提出した。 この方法によって、訪問した世帯の半数以上で調査への参加者を募ることができた。

つまり、この調査結果は、あくまでも一つの指標であり、鵜呑みには出来ない。筆者の生活している地域では外国人嫌悪はさほど見られない。あるいは、差別を無視する度胸や言い返す知恵(または細かいことにこだわらない)が身につき、気が付かないだけなのかもしれないが‥‥。

いずれにせよ、人々が現実に対してどのように反応するかは、地域や社会状況によって異なる。だが一般的には情緒不安定や恐れが生じたときに、強いリーダーシップを求める傾向があることだけは間違いなさそうだ。

 

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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