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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツ・ITBベルリン(国際旅行展)から見えた観光業界の今とこれから 価格高騰でも高まる旅行志向 

2023年の見通しは?

ITBベルリンに向けてDZTが IPKインターナショナル社に委託したアンケート調査によると、海外旅行者の71% は年明け早々に12カ月以内の海外旅行を予約していたことが判明した。

20230307_160404.jpg20230309_093624.jpg世界中の海外旅行者の旅先ランキングでドイツは、フランスとアメリカを抑えてイタリア、スペインに次ぐ第3位となっている。ちなみにDZT2023年の重点テーマは「世界遺産と持続可能な観光」だ。

ドイツを訪れたいと考える潜在的旅行者の61 %が都市観光に強い関心を抱いており、周遊旅行の29%と田舎や山での自然を満喫するバカンスの21%を大きく上回っている。またDZTが 2022年12月に委託したサイナス研究所の調査によると、回答者の54%が自然豊かな郊外をリンクさせた都市観光もイメージできると答え、39%がバカンス地に宿泊しながら日帰りの都市観光を楽しみたいと回答している。

06 germanyspnoriko.jpgアジアからの訪独客は、ウクライナ戦争の影響を受け時間も費用も以前よりも要することから、今のところ個人やグループの来客が戻ってくるのはまだ先のようだ。例えば東京・フランクフルト間の直行便で飛行時間はかつて11時間程、現在は13時間~15時間程時間。大人1人の往復航空運賃は搭乗時間や曜日により変動するが、エコノミーで2019年以前は1200ユーロ程だったのが、現在は1500ユーロ程。

価格高騰でも高まる旅行志向

ヨーロッパとアメリカ市場での高いインフレ率と物価の高騰によって、旅行にかかる費用は今年も続く見通しで、ほぼ20%の価格上昇を見込んでいる。それでも最新のアンケートに回答した専門家の72%が、旅行需要は前年比で22%の伸びになり、価格が高騰しても旅行志向は高まるだろうと予測する。

04 germanyspnoriko.jpgまたIPKインターナショナル社の分析では、2023年も 海外旅行が顧客にとって大きな価値を持ち続けることを裏付けている。消費者の支出優先順位を見ても、海外でのバカンスは食費と健康維持費につぐ第3位で、居住費やレクリエーション費用や国内旅行費用や服飾費を上回っている。ヨーロッパ人の60%は、2023年前半にこれまでの旅費と同じぐらい、約16 %はこれまで以上の旅費を費やす予定である。

DZTヘードルファーCEOは、次のように語っている。

「コロナ禍の最初の2年間は、国内旅行を選ぶ観光客が主流だった。けれども2022 年以降は、訪独外国人観光をはじめとする欧州や米国からの国外旅行が回復傾向を示している。とりわけ嬉しいのは、ヨーロッパ人の海外旅行が回復したことである。コロナ禍で大変だった2022年の行ってみたい旅先ランキングでドイツは、スペインに次いで第2位であった。2023年は、世界中のあらゆる地域 でドイツ需要が高まっている。持続可能性の高い観光に的を絞りながらデジタルイノベーションを駆使することによって、観光の国ドイツの国際競争力強化を図っていく」

専門家パネルのアンケートに回答した250人のCEOと国際旅行業者の75%が、今後半年間のドイツでの旅行ビジネスの動向が良い方向に向かうであろうと、大きな期待を寄せている。

 

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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