ドイツの街角から
ドイツの男女賃金格差は18%!ジェンダーペイギャップのなくなる日は何時に?
ドイツ連邦統計局は毎年、男女の同一賃金日つまりイコール・ペイ・デー(Equal Pay Day)に因んで男女賃金格差に関する最新統計値を発表する。今年のイコール・ペイ・デーは3月7日だった。そして翌日8日は国際女性デーでもあり、賃金格差がどうなっているのか探ってみた。
これによると、ドイツの2021年における男女賃金格差は18%だった。
ここで紹介する男女賃金比較は、パートタイム労働、会社での地位や異なる職種などの構造的な違いを考慮せず算出したもの。そのため統計結果は鵜吞みにできない。単に比較するのは難しい一面もあるが、とりあえず指標として参考にしていただければ嬉しい。
女性の平均時給は男性比で約4ユーロ少ない
男女間の給与格差はまだはっきりと残っている。近年、女性の労働市場への参加率が急上昇しているとはいえ、労働市場の多くの分野で女性は今だに不利な立場に置かれている。
平均時給は、女性19,12ユーロ。一見聞こえがいいものの、実は男性に比べて4,08 ユーロも少ない。(男性23,20ユーロ)。2020年の男女時間給差は4,16ユーロだったので、多少格差が改善された。だがこの15年間の男女格差は5%程縮まっているだけだ。
賃金格差の理由は複雑で一概にはいえないが、給与の差の大部分は構造的な理由によるという(連邦統計局)。しかも男女の職業選択も異なっている。そして女性は社会的、個人的なサービスに従事することが多く、技術的な職業などよりも当然賃金が低い。
特に、家庭の事情による長期休職とその後のパートタイムやミニジョブへの再就職の選択肢しかない場合が格差の理由のひとつ。これにより、社会保障費の対象となる女性雇用者の5割近くがパートタイムで働いている。いわゆるミニジョブ(月収入上限450ユーロ)の6割近くが女性によって占められている。
さらに、女性のキャリアはまだまだ貧弱で、特にトップレベルの役職に就く女性は少ないのが現状だ。管理職はパートタイムで採用されることはほとんどない。また、役割固定観念や性別による帰属意識は、職務評価や業績評価、役職に就く際にも影響を与え、ほとんどが間接的な不利益や間接的な差別につながる可能性がある。
欧州の賃金男女格差は13%
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko