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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツ・社員の満足度が高い「ベスト雇用主2022年」最新レポート。2位はアディダス、1位は?

1位に躍り出たフェレロ社では、「強力なブランドのカリスマ性とファミリービジネスの信頼性」という、2つの成功要因が明らかに共存している。

同社は全世界で3万5千人以上の従業員を擁し、そのうち約5千人がドイツ法人に勤務している。従業員の大半は、独中部のマールブルグ近郊アレンドルフにある生産拠点で働いている。

フェレロは、「ファミリービジネスとして、相互の信頼、尊敬に満ちた交流、良好な結束は、社員への対応において非常に重要である」と述べ、「わが社の要は従業員。彼らが働きやすい環境に満足すれば、企業向上・生産性向上という付加価値向上に繋がる」という。

なかでも「上司は、仕事上でも人間としても信頼そして尊敬できる」ことは、企業と従業員双方にとって大きなメリットとなりそうだ。

価値観の変化は仕事の満足度にどう影響?

この調査にあたりStatista代表取締役CEOフリードリッヒ・シュヴァント氏は、「今日、多くの社員が自分の仕事にもっと大きな意味を求めている。コロナの大流行は、ドイツの企業に大きな経済的課題だけでなく、雇用主としての新たな課題を突き付けた」と語る。

そこでコロナ禍という先の見えない異常なこの時期、Sternの協力による大規模な調査で、「価値観の変化が仕事の満足度にどのように影響するか」を探った。

ドイツ国内にある従業員500人以上のすべての企業を対象とし、事前にStatistaが2,600社以上の企業リストを調査。IT・通人分野、製薬業界、医療・福祉分野、自動車産業とそのサプライヤーなど24の部門別に割り当て、それぞれの業界で従業員の募集を行う際の雇用主ブランドを評価した。

調査は5万人以上の従業員を対象に、特設のプロフェッショナルオンラインパネルを通じて、雇用主として推薦できるかどうかを問うた。また、回答は自分の所属する業種から他企業を選び、その企業を評価することもできた。

データ収集・解析の中立性は常に保証され、計110万件の判定を元にした。なおSternやStatistaを含むメディア業界は、中立性の観点からこの調査には含まれていない。

調査はコロナ第3波と第4波の間、2021年6月24日から8月9日にかけて行われた。つまり、従業員は雇用主のパンデミック管理も含めて評価した訳だ。

評価は0点から100点までのスコアで換算し、達成したスコアによって企業を分類した。上位は82点以上、中位は66,5点、下位は35点だった。一方で、この調査のランキング入りを果たせなかった会社が必ずしも働きにくいというわけではない。

2019年末に新型コロナウィルス感染者が中国で発生してから、職場の環境も大きく変わった。だがそんな時だからこそ、非常時にも従業員の生活を保障する雇用主は、長期的に優秀な従業員・貴重な戦力を維持することができるのだろう。

予期しなかったコロナパンデミックにより、雇用主は従業員にどう対応するかが大きく試されている。

 

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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