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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

パリのランチ事情の変化に日本のお弁当が大躍進

えっ??ここパリだよね? と一瞬、思ってしまったスーパーマーケットのテイクアウトのコーナー  筆者撮影

パリでの日本食ブームは今に始まったことではありません。何といっても、一番、パリにしっかりと浸透したと言っても過言ではないものは、SUSHI お寿司で、今やパリだと、どの地域にいっても、そのクォリティーは別としても、少し歩けばお寿司屋さん(といっても、いわゆるお寿司だけではなく焼き鳥や餃子などまで置いているようなチェーン展開のお店)がみつかるほどになり、その後、どのスーパーマーケットに行っても、お寿司が置いてあるようになりました。お寿司といってもフランス人の好きなサーモンやアボカドなどが中心のものではありますが、それでも、お寿司であることにかわりはありません。しかも、日本のお寿司のクォリティからすれば、これでこの値段?と日本人の私は思ってしまうのですが、これがなかなかよく売れており、近所でも、ランチタイムなどには、お寿司のパック片手に歩いている人などを見かけるようになっていました。

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そこに覆いかぶさるように登場してきたのがさらにお手軽なおにぎりで、お寿司のコーナーの片隅やテイクアウトの食品のコーナーにおにぎりが当然のように並ぶようになりました。おにぎりもこれまた、日本の値段からすると、「えっ?」というような値段(3ユーロから5ユーロ前後)、この円安の時に安直に円換算するのはあまり妥当ではないかもしれませんが、1個約700円近い値段になります。しかし、そもそもパリでの外食はかなり高く、ふつうのカフェやブラッスリーなどで食事をしようと思うと平均20ユーロ前後(約3,500円程度)はかかり、時間もコストも削ろうと思えば、このインフレの世の中、テイクアウトのランチに手がのびるのも当然といえば、当然なのです。

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スーパーマーケットのテイクアウトのコーナーの拡大

私は、食べることが大好きで、ここ数年でどんどん変わってきたパリ市内のレストランを始め、パンやケーキを扱うブーランジェリー、スーパーマーケットなどを見て歩くのが大好きなのですが、その中でも最近、スーパーマーケットのテイクアウトのコーナーが拡大・充実してきたことに注目しています。しかも、そのラインナップを見ていると、お寿司やおにぎりだけでなく、いわゆる日本のお弁当「ごはんとおかず」のようなお弁当がいつの間にか、大きな位置を占め始めていることに驚いています。

最初は、新しいビルが建ったいわゆるオフィスワーカーが多い地域の近くにリニューアルしたスーパーマーケット(大手フランスのチェーン店)を覗いてみたら、そこは、テイクアウトの食品が中心のスペースになっており、ほぼほぼ食品だけを扱う日本のコンビニのような感じ・・しかも、そのランチボックスを覗いてみると、そのいわゆる「ご飯とおかず」が詰まった日本みたいなお弁当がけっこうあり、「えっ?ここパリだよね!」と思ったくらいでした。その時は、まあ、このあたりはオフィスで働く人も多いし、こういうコンビニみたいな方が効率がよいのかもしれない・・と思って、そのまま見過ごしていたのですが、先日、パリ市内のかなり中心地のモノプリ(MONOPRIX)(パリ市内では一番メジャーなスーパーマーケットチェーン)の地上階のかなり広いスペースがほぼ、このテイクアウトの食品コーナーになっており、むしろ、一般的な日常の食料品は地下に潜ってしまっているという店舗に遭遇し、スーパーマーケットチェーンがこのランチのテイクアウトに本格的に進出し始めたことを感じたのでした。

以前は、パリでテイクアウトのランチといえば、なんといってもバゲットのサンドイッチがその王道の座を占めていたと思うのですが、そこでは、バゲットのサンドイッチなどは、ほぼほぼ姿を見ることはなく、日本のお寿司やお弁当をはじめとするアジア(中華やベトナムなど)の食品が大きな位置を占めて、なかなか豊富な品揃えになっています。そこに、必ずデザートを食べたがるフランス人ならではの食習慣に合わせて、フルーツのボックスやパリならあたりまえのようにあるケーキ類などのショーケース。自分の好きなお弁当を片手にケーキを選ぶ人の行列ができていました。ケーキなども価格を抑えるためか、デザートとしたら、この程度でもよい・・と思うであろう消費者の意図を汲んでいるのか、一般的なパティスリーで置いているケーキよりも少々小さめだったりもします。

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そもそも、なんといってもパリでは王道中の王道のサンドイッチなどは、パリ市内には、すでに山ほどのパン屋さんがあり、美味しいものもたくさんあり、簡単に手に入るのですから、そのようなスーパーマーケットで今さらサンドイッチを置く必要もないのかもしれません。

このお弁当の中でも、やっぱりお寿司や根強い人気があるようで、お寿司やポケボウルなどを手にしている人が多い気もしましたが、フランスならでは?なのは、お醤油が別売りになっていて、お醤油も甘いお醤油と甘くないお醤油の二種類があります。この甘いお醤油というものは、ヨーロッパでは結構、人気があるようで、チェーン店のなんちゃってお寿司屋さんのようなところには、必ず2種類のお醤油が置かれているのがふつうなのですが、それがテイクアウトの市場でもそのまま反映されているようです。そこでは、そのお醤油が小さな入れ物に60セントで売っているのですが、考えてみれば、これはえらい割高なお醤油ですが、お寿司を買う人はけっこうな割合で一緒に買っています。このお醤油に関して言えば、日本人からすれば奇妙に映りますが、白いご飯にこの甘いお醤油だけをかけて食べる人もけっこうフランスにはいるのです。

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そのようなテイクアウトのランチボックスを持って職場に帰る人もいれば、天気の良い日などは近くの公園に行ってお弁当を食べている人もけっこう多く、以前はせいぜい、テイクアウトといえば、サンドイッチやハンバーガーやピザだったパリのランチ事情が変わってきたな・・と思っています。ましてや、そこに日本食が堂々と君臨していることは、日本人としては嬉しいことです。日本人の私にとっては、自分で作れば、もっと美味しくできるし、安上がり・・などと思うのですが、自分では作ることができない料理がスーパーでそこそこの値段で手に入るとなったら、フランス人が飛びつくのもわかるような気がします。

マクドナルドなどのファストフードも競争激化

とにかく、インフレで全てのものが値上がりしている中、消費者はもちろんのこと、サプライヤー側も必死なのがわかります。マクドナルドなどのファストフードチェーンも場所によって同じものでも値段が違うのですが、最近は、メニューもベジタリアンを意識したり、流行のドラマ(一時、人気だったドラマ・エミリーパリに行く)に乗っかって、「エミリーセット」のようなものを出してみたり、以前に比べると、せいぜい中に入っているチーズの種類が変わるくらいのメニューであったことを考えると、ずいぶんと商魂たくましい感じになってきました。そして、最近は、価格破壊ともいうべく、5ユーロ前後の激安メニューをマクドナルド、バーガーキング、KFC(ケンタッキーフライドチキン)などが、出し始めています。

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ハンバーガーとポテト、ドリンク、あるいはデザートなどまでついて、5ユーロ前後というのは、画期的で、なんだかんだいっても、結局、そんなに安くない・・と思っていたファストフードにも変化が起こっています。このようなメニューが実際には、どの程度の呼び水になっているのかはわかりませんが、数ヶ月前に発表された「働いている人を対象とした一番好きなレストランアンケート」では、マクドナルドが堂々、第一位を獲得し、フランス人もマクドナルドなの?と驚いたくらいです。この結果は、全国展開しているチェーン店であることが大きな要因であったとはいえ、そのクォリティやサービス、値段等々も充分、加味されていることは言うまでもありません。

フランスといえば、昼食にもゆったりと時間をとり、ワイン片手に談笑しながらランチ・・などというイメージがあったかもしれませんが、このインフレの中、パリのランチ事情もずいぶん様変わりしているようです。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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