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スペインあれこれつまみ食い

松尾彩香|スペイン

出会い系アプリは消してスーパーに走れ!今スペインでバズっている新しい出会い方

©️YouTube - Nuevo Modelo de Tienda Eficiente de Mercadona

「東京都が独自のマッチングアプリを開発」「こども家庭庁が婚活支援を検討」など、少子化対策として政府が国民の恋愛事情に介入してくる時代になりました。結婚しない、または子供を持たない理由について焦点を当ててみると、出会いの場を提供するだけでは不十分のような気もしますが、日本政府のこのような取り組みは海外でも注目されています。バルセロナ出身の人気コンテンツクリエイターPol Corminasもこの話題を取り上げた一人。彼のTikTok動画には約450ものコメントがついており、「日本の問題は仕事ばっかりの退屈な人生で社交的な生活が送れないんだよ」「少子化対策なら移民を受け入れればいいじゃないか」と他国から様々な視点からの意見が寄せられていました。

さて、少子化の問題が深刻化しているのはここスペインも同じ。大家族割引を導入したり移民を積極的に受け入れるなどの対策をとっていますが、実は出生率は1.19と日本よりも低いのです。そんなスペインですが、最近SNSで話題になっている出会いの場があるので紹介したいと思います。それはバーでもクラブでもなく、誰もが足を運ぶ意外な場所でした。

 

スーパーマーケットで出会う!

「今すぐマッチングアプリを消してメルカドーナに行きなさい!」そう呼びかけたのはスペイン人舞台女優のビビー・リンさん。メルカドーナとはスペインのどんな街にも1軒はある大手スーパーマーケット。彼女は自身のTikTok で「メルカドーナで出会える」という都市伝説が本当かどうかを確かめるために友達とメルカドーナを訪れている様子を投稿しました。「Googleでメルカドーナで出会える時間を検索したら19時から20時って出たの!今は19時5分。ちょうど出会える時間だから買い物は終わったけどちょっと店内をぐるってしてみようと思う!」結局ビビーさんに出会いのチャンスはなかったようですが、この動画は瞬く間に拡散されこの趣旨の動画が現在連日トレンドとなっています。

 

出会うための暗号

この動画が流行すると、どこからともなく「出会うための暗号」が決められ、各SNSでそれが拡散されるようになりました。メルカドーナでパートナーを見つけるためには、ただ足を運ぶだけではダメ。出会いを探しているということを回りにアピールしなければいけません。そこで暗号として使われるのがパイナップルです。「パイナップルをショッピングカートの中に逆さまに入れ、ワインが売っている通路に行く」というのが出会うためのルール。さらに気に入った相手を見つけたらショッピングカート同士をぶつけるというのがサインとなります。

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©️YouTube - La hora de ligar en Mercadona: ¿Mito o realidad? | Con David Andújar

 

出会いを求め?メルカドーナに殺到

この動画がトレンドになってすぐに、様々なSNSで「本当にメルカドーナで出会えるのか試してみた」という手の動画を見る様になりました。そこまでは良かったものの、最近になって各地のメルカドーナに未成年の子供たちが面白半分で押し寄せるようになってしまったのです。

中には収集がつかなくなり警察を呼ぶ程の騒動になってしまったメルカドーナも。またとある動画では出会いのために店内のコンセントを使って髪の毛にアイロンをかける少女たちの姿も収められています。

他の動画ではメルカドーナのパイナップル売り場の前に警備員が設置され、子供たちが面白がってパイナップルを持ち出さない様に見張っている様子が紹介されていました。スペインの学校は9月の初旬まで夏休み。どうやらバケーションから帰ってきた子供たちが学校が始まるまでの間暇を持て余し、おもしろ半分で近所のメルカドーナに押し寄せているようです。

  

元ネタは?

ビビーさんが紹介したことでバズったこの都市伝説、元ネタは一体何だったのでしょう。

遡ること2017年。スペインで人気を誇る「ファーストデート」と呼ばれるテレビ番組の中でこの話題が出たことがこの都市伝説の始まりです。ファーストデートでは様々な背景を持った一般人2人がレストランに見立てたスタジオで食事をしながらおしゃべりを交わすのですが、この番組で2017年ある回に登場した一人の女性がこう言いました。「私はよくメルカドーナに出会いを探しに行くの。ビールとポテチをカートに入れてる人は独身って分かるでしょ。」「独身の人が買い物に来る時間があるの、それは19時から20時!」。7年前に番組の一部で発せられたこの発言が今になって若者を中心に話題になっているのです。

「独身の人が買い物をしがちな時間にスーパーマーケットに行き、カートに入っているもので独身かを判断して声をかける」と言う方法は確かに出会いとしてはありのような気がしますが、出会いを探していることをアピールしなくてはいけないのはちょっと日本人にとってはハードルが高いかもしれませんね。

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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