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スペインあれこれつまみ食い

松尾彩香|スペイン

暮らしてみて発見した スペインの習慣と国民性5選

©️Vecteezy-Joanna Redesiuk

長い夏が終わり、スペインにも秋が訪れました。

日本のように四季があるスペイン。首都マドリードの気温の変化は年間通して東京とそこまで変わりませんが、やはり文化や国民性となると日本とスペインには大きな違いがあります。今回はスペインに来て驚いたスペイン独特の習慣や国民性についていくつか紹介しようと思います。

  

1,日曜日祝日は買い物ができない

マドリードやバルセロナのような大きな都市を除き、スペインでは日曜日と祝日はお店が開きません。食料品の買い出しは土曜日に済ませておかないと、日曜日になって「食べるものがない!」となっても空いているお店がないのです。食料品の買い出しにもショッピングにも行けない日曜日なんて退屈だと思われるかもしれませんが、国民のほとんどがキリスト教徒であるスペイン人にとって、日曜日というのは休息を取るための日。家族で集まってゆっくりと昼食を楽しみ日常の喧騒から離れた時間を過ごすというのがスペイン人の日曜日の過ごし方なのです。

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©️Vecteezy - Teerasak AINKEAW

2,ペルシアナ

ペルシアナは日本の雨戸のような窓を保護するためのシャッター。日本とは桁違いに日差しが強いスペインではどの家にもこのペルシアナが取り付けられています。特に夏場は日差しで家の室温が上がってしまうので、このペルシアナを下ろして日差しをシャットダウンすれば空調がない家でも快適に過ごすことができるのです。またペルシアナは光をしっかり遮断してくれるので、シエスタ(昼寝)の際はペルシアナを下ろすことでお昼でも真っ暗な部屋でしっかりと睡眠をとることができるんですよ。海外に住むスペイン人はこのペルシアナの存在が恋しくて仕方がないのだとか。スペインを代表するアイテム?と言っても過言ではないのかもしれません。

3,食事の文化

スペインに来てまず驚いたのは食事の文化が大きく異なること。日本では食事は基本的に朝昼晩の3回ですが、スペインでは多くの人が5回に分けて食事をとります。一番しっかり食べるのは昼食。日本ではお昼はささっと済ませてしまいがちですが、スペインのレストランでランチを頼むと1皿目(サラダやスープなどの前菜)、2皿目(肉料理などのメインディッシュ)、デザートとお腹いっぱいになるまで食べることになります。もちろんコース料理なのでささっと食べることは不可能。そのためスペインではしっかりお昼ご飯を食べるために昼休みとして2〜3時間お店を閉めたりすることも珍しくありません。食事の後はコーヒーを片手に会話を楽しむソブレメサという文化があり、グループで食事をとるとき、食事を済ませてすぐ席を立つことは失礼とみなされるそうです。さらにスペインの晩ごはんの時間は22時頃と遅いのが特徴で、そのため家で食べる場合は軽めに済ませて寝てしまう人がほとんどです。

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©️Vecteezy - david cabrera

 

4,夜行性

スペイン人の時間の感覚は日本人と比べると2〜3時間遅れているように感じます。例えばお店のオープン時間は11時の所が多いですし、朝食を提供するようなバーも9時くらいまで開きません。スペインに旅行に来て、「朝早くから行動して1日を充実させるぞ!」と意気込んでいたのにも関わらずお店がどこも空いておらず何もできなかったという経験をしたことがある日本人観光客は少なくないのではないでしょうか。他にもスペインの若者の夜遊びは朝の2時からはじまったり、結婚式のパーティーなんかも次の日の朝まで音楽に合わせて踊ったりと、ナイトライフを充実させている人が極めて多いのがスペインです。子供がいるから夜遊びできない?そんなことはありません。スペインでは夜遅くても親と一緒に外を歩いている子供たちをよく見かけます。友達との集まりにベビーカーに赤子を乗せて参加!なんてこともスペインでは当たり前。スペイン人にはこうして赤ちゃんの頃から夜型の生活リズムが刻まれていくのかもしれません。

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©️Vecteezy - Myron Standret

    

5,社交的

群れることが大好きなスペイン人。例え社会人になっても、仲良しの友達グループとは定期的に集まります。それは歳を重ねても変わらず、高齢者も古くからの友人とバーに飲みに行ったり、友達グループと毎朝散歩をしたりと、多くのスペイン人の一生はたくさんの人との交流で成り立っています。スペインの住宅街や道沿いにはたくさんのベンチがありますが、このベンチは近所の人と井戸端会議をするのには最適な場所。老若男女問わず様々なスペイン人がベンチに腰を下ろして友人や隣人らとの会話を楽しんでいる姿をよく目にします。

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©️Vecteezy -g-stockstudio

 

今回は5つだけ紹介しましたが、スペイン特有の文化はあげていたらキリがないほど存在します。食べ終えた食器がテーブルに置かれたまま会話を続けるスペイン人たちとの集まりで「早く片付けてしまいたい」という衝動を堪えなければいけなかったり、日曜日にどこにも出かける場所がなくて退屈だったりと、いまだに慣れない事も多いですが、年齢を気にすることなくいくつになっても友達と夜遊びに出かけたり、ゆっくり過ぎていく時間の流れを楽しむスペイン人を見ていると、こういったスペイン式の生き方も実践してみるのもなかなか面白いかもしれないな、と密かに思い始めたりしています。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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