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松尾彩香|スペイン

春なのに40度超え?スペインの異常気象 今年も継続

©️iStock - batuhan toker

夏至までまだ2ヶ月あるにもかかわらず、スペインでは夏のような気温が続いています。去年「過去500年で最悪」と言われていた干ばつも回復する様子はなく、今年の夏はこれまで以上に過酷なものになるのかもしれません。

今年の春は多くの地域で観測史上最も暑い春となり、保健省は通常61日に発足される「高気温による健康被害予防行動計画」を515日に前倒しすることを発表しました。またこの計画は通常取り下げられる930日以降も継続されることが今の段階ですでに予想されています。スペインの中でも特に暑い日が続くスペイン南部では、行政が熱中症などに気を付けるよう注意を呼びかけています。

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©️YouTube - España sufre ola de calor temprana | AFP

 

例年より10〜15度暑い春

スペイン南部のアンダルシア州にあるコルド空港では27日、38,8度という驚異的な気温を記録しました。これまでの同空港における4月の観測史上最高気温は2017年に記録した34度。この日はその記録を4,7度も上回る猛暑日となりました。一方、首都マドリードではレティーロ公園に設置されている温度計が30,7度を指し、こちらも観測が始まった1920年以来最高の気温を記録したようです。

私が体験する初めてのスペインの春。春らしい過ごしやすい日はあっという間に終わり、日中は半袖でも暑いと感じる日が増えてきました。今まで暖かい日向を求めて昼過ぎに散歩をしていた人の姿も徐々に減り、最近では日が傾き始め涼しくなってから散歩に出かける人が多くなってきたように感じます。例年より10度から15度も気温が高い今年の春、スペイン人たちも「こんなの普通じゃない」と驚きが隠せないようです。

 

夏のようなセビージャの春祭り

4月23日から29日にかけてスペイン南部の街セビージャではスペイン三大祭りの一つと言われている春祭りが開催されました。フラメンコ発祥の地ともされるセビージャで行われるこの祭りでは、カラフルなフラメンコの衣装を身に纏い頭に大きな花を飾った参加者をたくさん見ることができ、毎年その華やかな様子が観光者の目を楽しませます。40度近い猛暑日の中行われた今年の春祭りですが、来場者数は100万人を超え大盛況で幕を閉じました。

この祭りでは多くの馬車や馬に跨った人々が街を行き交い、まるで昔にタイムスリップしたような感覚を体験できるのですが、この馬たちにとって今年の異常なほど暑い春祭りはとても過酷なものとなってしまったようです。SNSでは脱水症状を起こして座り込んでしまう馬の姿が拡散され、それをみた視聴者からは「馬が可哀想だ」と批判の声が相次ぎました。さらに環境・動物愛護党(PACMA)はこの祭りの最中に一頭の雄馬が脱水が原因で死亡したことを告発。死亡したとされる雄馬はもともと馬ピロプラズマ症を患っており、馬主はそれを知っていながら馬を働かせていたことが判明しており、警察は動物虐待の疑いで捜査を進めています。

 

干ばつは改善の兆しなし

気象庁によると昨年10月1日から今年4月11日までの降水量は例年より21%も少ないようです。バルセロナがあるカタルーニャ州ではすでに一部の地域で水の使用制限が行われ、600万もの住民の生活に影響が出ました。干ばつの影響はスペインの経済を支える農産業にも大きな影響を与えており、スペインで盛んに栽培が行われているオリーブや小麦の生産量の大幅な減少が予測されています。ガソリンや電気代の高騰、肥料価格の高騰などで食料品価格の値上げが止まらないスペインですが、この干ばつによってスペインの食卓に欠かせないオリーブオイルやパン、さらに牛乳や肉などが更に値上げすることが予想され、ますます国民の生活を苦しめることとなるでしょう。

一方カスティージャ・ラ・マンチャ州の自治体トメジョーソは小麦の栽培が盛んな地域ではありますが、ここではもう12月から雨が降っていません。小麦の苗はすでに枯れ始めており、この状態が続けば畑が乾き切り収穫量がゼロになってしまう可能性すらあるのです。トメジョーソの農家たちはこの地域を「大惨事地域」に指定し対策を進めるよう州に求めています。

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©️YouTube - Una sequía histórica arrasa hectáreas de cultivo en España y otras partes de Europa

 

今年の夏はプールに制限も?

スペインには120万以上のプールが存在し、その数は住民37人当たりに1つのプールがある計算になるほど。元からプールが大好きなスペイン人ですが、すでに30度を超える気温を叩き出しているスペインでは、例年より早くプール開きを行う施設や家庭も少なくないでしょう。現在カタルーニャ州では生活用水でプールに水を張ることを禁止していますが、水不足によりこのような制限を行う自治体はこれから徐々に増えてくるかもしれません。バルセロナにある水質研究所(IDAEA-CSIC)のスポークスマンであるアンナ・フラド氏は、「プールの水は4年から5年の間使用で、毎年入れ替える必要はない」として、市民に節水を呼びかけています。

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©️YouTube - La playa de Madrid Río abrirá el viernes y 17 piscinas municipales lo harán el 13 de mayo

私が住んでいる街では今年に入って片手で数えれるほどしか雨が降っていません。雨が降ったと言っても一日中降ることはなく、数十分の間にパラパラ降る程度。例年4月はよく雨が降ると言われてるそうですが、今年は特に雨が少ないようです。これらの問題はスペインだけでなくイタリアやフランスでも深刻化しているようですが、いつかこの状態が当たり前と呼ばれる日が来てしまうのかもしれません。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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