England Swings!
ジューンブライドは孫娘
主役の二人は跳ねるように踊っていたかと思うと、バルコニーで誰かと話し込んでいる。グループでショットの酒の一気飲みして盛り上がっていたりもする。笑ったり、涙ぐんだり、ハグしたり、誰よりも楽しそうだった。後半は結婚式というより、二人のためのパーティーなんだな。
結婚式にはたっぷり呑むのもお決まりのパターンだ。ウェルカムドリンクに始まって披露宴ではシャンパンにワイン、合間の待ち時間にもグラスを重ねる。ビールやジンやもっと強いものを求めてバーには人が途切れず、暗くなる頃には目がどこかにイっている若者も現れた(日本の二次会でもたまにいますよね、こういう人)。
さらにはネクタイを助六のように頭に巻いた男の子も発見。昭和のサラリーマンか! 夫の娘によれば、これは英国でも典型的な酔っ払いの姿だそうだ。不思議な共通点があるものだなあ。もしかしたら人は、酔った頭をすっきりさせようとして本能でネクタイを巻いてしまうものなのか。
こうして、ダンスに疲れたら呑んでしゃべって、またダンスして、というサイクルが真夜中まで続いた。「これでお開き」という合図はないので、十分に呑んで踊って祝ったな、と思ったところで、それぞれが三々五々散っていく。この時点ではもうパーティーなのだから、それでいいのだ。
とはいえ、あまり早く退席するのは失礼という感覚も一応はある。下戸で早寝でダンスが大の苦手な夫は早々に帰ると言い出しかねないので、密かに説得の言葉を用意していたけれど、孫娘のためにずいぶんがんばってくれてほっとした。
結婚式はいつどこで出席してもわたしたちを幸せな気分にしてくれる。でもやっぱり、緑がまぶしい初夏の式は気持ちがよく、喜びも倍増した気がした。よい1日だったなあ。おめでとう。おばあちゃんは二人の幸せをいつも祈っていますよ。
著者プロフィール
- ラッシャー貴子
ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。
ブログ:ロンドン 2人暮らし
Twitter:@lonlonsmile