England Swings!
厳しい暮らしを反映するクリスマスCMが話題に
<過去の過去の傑作クリスマスCM集>
まずは今年いちばん好きだった、映画『クリスマス・キャロル』の放映を宣伝するスカイテレビのCM。
途中までジョン・ルイス風に心温まる展開だったのに、なんと......! ヒントは、このおじいさんを『クリスマス・キャロル』の登場人物、スクルージになぞらえていること。こういうオチも英国らしくてよいです。(ネタバレ→女の子の手作りプレゼントを見たおじいさんが言ったのは、「こんな下手くそなもの!」、その後のナレーションは「現代にもスクルージがいるみたいですね」)
続いて全国展開する大手小売店、マークス&スペンサーの2019年のCM。
セーターを着るとどうしても踊り出したくなっちゃう人たち。そんなバカな、と思いつつ、みんな楽しそうで、こちらまでハッピーになっちゃいます。
マークス&スペンサーは2017年のこの作品もよかったのです。ミセス・サンタが大活躍するファンタジーで、心もぽかぽかになります。
次はカタログ販売の大手、アルゴスの2019年のCMはこちらから。ただただ気持ちよく楽しく、一緒に夢を見るCMです。ドラムってなんだか気分がすかっとしますね。
ジョン・ルイスの過去作品もご紹介しましょう。まずは2018年。
英国が誇る世界的なシンガーソングライター、エルトン・ジョン本人が出演しています。名曲『僕の歌は君の歌』にのせて彼の人生を遡っていくと......。翌年には彼の人生を描いた映画『ロケットマン』が公開されたので、何か関係があったのかも。
ぐっと遡って2012年の作品。
庭で作った雪だるま2体。翌朝になるとひとつしかありません。もうひとつはどこに何しに行ったんだろう。心がじんわり温まる傑作で、ガーディアン紙は今年、この作品をジョン・ルイスの歴代クリスマスCMの第1位に選んでいます。
ジョン・ルイスでは、個人的にはこの2020年の作品も大好きです。この年に「無料給食を夏休み中も残してあげて」と政府にかけあったサッカー選手、マーカス・ラッシュフォードらしき少年が受けたやさしさから始まる小さな親切の連鎖。またラッシュフォードか、と笑わないでくださいね。彼はそれだけ社会に大きな影響を与えたんです。
そして最後はヒースロー空港の2017年の作品。
空の旅をするテディベアの恋は、最後の最後までほのぼの。空港のCMって不思議に思いますが、ヒースロー空港は毎年のように制作しています。
著者プロフィール
- ラッシャー貴子
ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。
ブログ:ロンドン 2人暮らし
Twitter:@lonlonsmile