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ラッシャー貴子|イギリス

政府のスキャンダルもかきけす勢い、オミクロン株の緊急事態宣言

 こうしたスキャンダルとコロナに何の関係あるのかというと、怒ったり呆れたりした国民がプランBの規制を守らない可能性があることだ。大して厳しくもないプランBの規制も守られないと、オミクロン株はさらに急拡大するかもしれない。政府への抗議として、ソーシャルディスタンスなし(たぶんマスクもなし)のデモがクリスマスイブに計画されていて、SNSで70万人が参加を表明しているという報道もある。え、70万人!? もしそんなデモが本当にあったら大変だ。

 と思っていた矢先、事態はここでまたまた急展開。このスキャンダルのさなか、英国でオミクロン株が驚くべき速さで拡大していることが指摘されて、12月12日、政府はオミクロン株の緊急事態を宣言したのだ。3回のワクチンで75%の人にコロナの症状が出ないとわかったことから、今月の終わりまでにイングランドの18歳以上へのブースター接種(ただし2回目から3か月経過していることが条件)を提供すると発表した。あと19日で達成するには1日100万本の注射を打つ計算になるそうで、そんなことができるのか、接種会場は大混雑だ、予約サイトはフリーズしているじゃないか、とマスコミや国民の目はスキャンダルからそれ始めた。もちろん調査は続いているものの、ボリスにとっては、これはある意味ラッキーだったのかもしれない(でもわたしは忘れないよ、ずいぶん我慢したんだから)。

ITVニュースのツイートより。ブースター大作戦の発表後、あちこちの会場に長い行列ができていて、7時間待ちなんてこともあるらしい。これはガイズ・アンド・セントトーマス病院の行列の様子。長い。会場の中はまた野戦病院のようになっているかもしれない。

 英国でのオミクロン株感染者は12月13日現在4713人だが、2、3日で倍増すると予想され、重症化しにくいと言われていたオミクロン株でも最初の死者が出ている。1月には英国に大きな感染の波が来るとも言われていて、これから行動が制限される可能性も感じられる。わたしたちは今年も同じ会話を繰り返すことになりそうだ。「クリスマスはどうなるんだろうねぇ」

オミクロンロ - 1.jpeg

かつでパンクファッションの中心地だったカーナビーストリートでは、毎年ファンキーなイルミネーションが楽しめる。今年は華やかなちょうちょ......ですよね? 大きいものはモスラにも見えて、にやにやしてしまった。筆者撮影
 

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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