England Swings!
バースの街で紳士淑女の社交を追体験、ジェイン・オースティン・フェスティバル
現地でこのフェスティバルを見るのは今回が初めてだった。ずっと見てみたかったのだけど、ドレスを着るというハードルが高くて踏み出せなかったのだ。だいたいどこでこんな衣装を手に入れるのかと不思議にさえ思っていた。今回わかったのは、フェスティバルのサイトに衣装を売る店やレンタルできるところが紹介されていて、フェスティバル中も生地や衣装や小物を売る店が出るということだ。なるほど! さらに毎年のように新しいドレスや上着を手縫いで仕上げる強者もいるとも聞いた。みなさん、力が入っているのだ。
今回はバースに住む友人が話に乗ってくれたので、まずは一緒にパレードを見て様子をうかがうことにした。ついでに前の晩にはお宅に泊めてもらうことになり、バース行きがますます楽しみになった。コロナのパンデミックが始まってからロンドンを出るのは、昨夏の娘の結婚式以来、二度目のことだった。
バースにはパレード前日の昼前に着き、まずはジェイン・オースティン・センターに行ってみた。オースティンの人生を紹介するこの小さな記念館では、当時の風俗やバースでの暮らしも詳しく知ることができる。この記念館のことを書き始めると長くなってしまうなので、ご興味ある方は、10年前に訪ねた時の個人ブログの記事をどうぞ。
このセンターで働く人は受付からガイド、ティールームのウェイトレスまで、全員がこの時代の装いをしている。しかも、誰でも気軽に試着できるコーナーも用意されていた。この衣装がよく工夫されていて、自分の服の上から羽織ったり割烹着のように前から着たりするだけで簡単に時代を遡ることができる。コロナの影響で訪問者は多くなかったが、若い女性たちは嬉しそうにあれこれ着ては写真を撮っていた。係のお姉さんによれば、ハイウェストなこの時代のドレス((「エンパイア・ライン」と言うそう)はお腹を締め付けないので、着ていてとても楽ということだった。
その晩泊めてもらった友人宅もジョージア王朝時代のそれはそれは美しい建物だった。夜には他の友人も集まって女4人でかしましく飲んだのだが、そのパブの窓から目撃した光景がこの写真。
フェスティバルはこの日の夜から始まっていたのだった。後で偶然すれ違ったので、つい「すてき!」と声をかけてしまったら、みなさん嬉しそうにサンキューと微笑んでくれた。
著者プロフィール
- ラッシャー貴子
ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。
ブログ:ロンドン 2人暮らし
Twitter:@lonlonsmile