NYで生きる!ワーキングマザーの視点
NYPDで唯一の日本人として17年間勤務したガイ京美さんが任期満了となった<前編>
ガイ京美さんは、NYPDで唯一の日本人として17年間勤務し、多くの現場経験を積みました。NYPDには日系アメリカ人もいますが、日本からの出身者としては京美さんが唯一の存在でした。そんな京美さんが、2025年1月でNYPDを任期満了となります。2012年にも取材させていただいたことがあったのですが、今回、任期満了を迎えるということで、再度、取材をさせていただきました。
Hiroe:任期満了での退任とのことですが、どのような思いでこの節目を迎えられましたか?
京美さん: そうですね、NYPDでの仕事は大変なことも多かったですが、良いタイミングで終われたと思っています。仲間からも「いい時に終われて良かったね」と言われましたし、有休を消化している今もグループチャットでみんなと繋がっています。
Hiroe:NYPDでの任期はどれくらいだったのですか?
京美さん: 私は2008年1月にNYPDに入り、17年間務めました。ただ、米軍に所属してイラクに派遣されていた期間があるので、実際の任期満了は3年を引いた17年でした。2016年にクオモ知事が政策変更※1した影響もあって、米軍に所属していた人たちは17年で退職する人が増えました。
これまではNYPDで生涯働くという人が多かったのですが、過去10年くらいNYPDをステップとして、さらなるキャリアアップを目指す人が増えています。
今回のアメリカで政権交代もあって、政策変更やリーダーシップの交代が行われ、FBIや他の政府機関で人材募集が活発化します。そのため人員の入れ替えや空きポジションが増え、採用活動が活発になるため条件のいいところへ行く人もいます。
Hiroe:京美さんはアメリカの政治に、とても関心がありますよね。
京美さん: はい、アメリカ大統領選挙のために日本からわざわざアメリカへ戻ってくるくらい、アメリカの政治に関心があり、世の中の情勢を追うのが好きです。2024年にロシアのプーチン大統領に取材したこともあるFOXのキャスターだったタッカー・カールソン※2の大ファンです。
メディアが一方的に情報を操作し、歴史を勝手に書き換えていた時代がありましたが、最近では、そのようなフィルターが取り払われつつあり、YouTubeやPodcastといった新しいプラットフォームを通じて、これまで押しつぶされていた多様な声や視点が表に出るようになってきていると感じています。
Hiroe:NYPDの新人時代の経験について教えてください。
京美さん: 新人の頃は、ブラックハーレム(この地域におけるアフリカ系アメリカ人のコミュニティ)やブルックリンなど、いろいろな場所に行かされました。マンハッタンのイベントで、ステージの警備を担当したときに、取材に来てくれましたよね?仕事自体は大変でしたが、「NYを楽しめる」と思える瞬間もありましたね。
Hiroe:仕事のスケジュールはどんな感じだったんですか?
京美さん: 正直、予定なんて立てられないことが多かったです。急に仕事が入ることも日常茶飯事でした。逮捕が絡むと残って残業になることも多かったです。
Hiroe:プライベートの時間は取れないですね。。。
京美さん: ほとんど取れなかったですね。恋愛どころか、友人とも予定を立てるのが難しかったです。特に台風や緊急事態があると、「5人残ってくれ」なんて言われて、下っ端だった私はいつも残されていました。
Hiroe:その後、状況は変わりましたか?
京美さん: 熟練してくると、ようやく予定を聞かれるようになりました。「いつやれる?」と相談される立場になったんです。新人の頃とは全然違いますね。
※1...2016年5月、アンドリュー・クオモ知事は、退役軍人が州の年金に対して最大3年間の軍務クレジットを購入できる資格を拡大する法律に署名しました。この変更により、NYPDの警察官を含む、名誉除隊した退役軍人が、軍務期間を年金計算に加算できるようになり、実質的に退職までの必要年数を短縮することが可能になりました。※2...2024年2月6日、タッカー・カールソン氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領にインタビューを行い、2月8日にその内容が公開されました。このインタビューでは、ロシアとウクライナの関係などが取り上げられました。カールソン氏は、FOXニュース退社後も独自のメディア活動を続けており、特にYouTubeやPodcastなどのプラットフォームを通じて、多様な視点や意見を発信しています。
著者プロフィール
- ベイリー弘恵
NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。
NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com