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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

NYジャパンシネフェストで大賞をとった映画は北九州市発のChavo監督

同期時に掲載の写真はすべて©Chavo

本文の前に、~New York Japan CineFest 2024(NYで毎年行われる日本映画の短編映画祭で略称NYJCF)で、「Ding Dong Ditch」をNYJCFの会場で観て、日本の夜景がこれほど美しいものだと改めて気づかされた。ストーリーも表現力も素晴らしいものだった。

暴力的なシーンをあえて音と「わびさび」だけで、日本人らしい表現をしていたところにも興味がわいたため、監督に直接お話をうかがいたいと思った。今回、同フェスティバル主催者の協力を得て、Chavo監督に取材させていただくチャンスを得た。

偶然だが、この映画が私の地元である北九州市で撮影されたものだったと知ったときは驚いた。~

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いくつも才能がある人というのは、こういう人のことだ。北九州市で生まれ、その街の美しさを写真や漫画、そして今は映画という手法で映像としても世へ浮かび上がらせるChavo監督(山村武大)。しかもそれを一人でコツコツと続けているのだとか。

写真を学ぶため18歳で上京した。生まれつきのセンスがあったのだろう写真家としてデビューも早かった。しばらくは、写真家として活躍していたが、漫画を描いてみることにも興味を持ち始めた。

「漫画を描き始めて3年目の作品だったのですが、ちばてつや賞に投稿して週刊モーニング誌面で1次審査通過者に自分の名前を見つけました。

ずっと選ばれなかった名前だったので、コンビニで立ち読みして見たときは震えたのを覚えています。

そして、ちばてつや大賞に選ばれ、『ああ、僕は漫画を描いてていいんだ。』と、なんだかほっとしたのを覚えています。」

ビジネスの才能もあったようでECコマースを中心とした経営を始めた。「お金はできてもどこか充足感を得ることができなかったんです。以前のようにクリエイティブなことをやりたかった。」

地元の北九州へ戻って写真館をはじめ、写真家としての技術を生かして地元の人たちの写真を撮影することが生活の基盤となる。

「成人式のお写真を撮影するときは、女性のお着物は清楚なもので、自然光を使ったナチュラルな写真を希望される方が多いです。男性は、スーツ姿の方が多いです。

主に家族写真を撮影していますが、お客さんからはとても喜んでいただいてます。喜んでいただけることが写真家としてのやりがいでもあります。」

持ち前のセンスさえあれば、地元の人気が上がっていくのは当然だろう。 さらに、1年前からは映画の制作を一人で始めたのだという。

「架空の映画の予告編を制作するコンテストのような企画を思いつき、やりたいって思って、まずは自分が、そういったトレーラー※1フィルムをつくってウェブサイトにあげてみたのですが。 さすがにニッチすぎて当たらなかったですね。

それで、ショートフィルムならばすでに土壌があるので、今はショートフィルムを作っています。ボランティアの地元の演者さんたちに支えていただいて、撮影から編集までをすべて一人で行っています。」

2作目短編映画『Ding Dong Ditch』が、New York Japan CineFest 2024の13回目、最高賞にあたるBest Short Audience Awardを受賞した。ニューヨーカーにも高く評価され、日本映画としての存在感を示した。

「今は次の映画を制作中ですが、作品をより多くの方に観ていただきたいので、その方法の一つとしていろいろな映画祭に出展していくことも大切だと思っています。」役者さん以外は、ほぼ一人で作る映画なので、協賛してくれる人を集めていくのは大変そうだ。

最後に、冒頭で気になっていた暴力的なシーンだが、思った通り、綿密にChavo監督が音や光の間を考えて撮影と編集をしたものだった。写真、そして漫画から生まれ映画へと昇華させたChavo監督の繊細な感性は、これからも世界でさらなる活躍を見せてくれるだろう。

※1.トレーラー・・・予告編のフィルムは、英語では 「トレーラー(Trailer)」 と呼ばれ、日本語では 「予告編」 や 「トレーラーフィルム」 と表現されます。

【関連リンク】
Chavo Photo
Chavo監督のInstagram
Chavo監督オフィシャルサイト

newsweekjp_20241210232050.jpg【プロフィール】
Chavo(山村武大 やまむらたけひろ)
1983年生まれ。日本、福岡県北九州市出身。
写真家、漫画家、経営者を経て2023年より独学で映画製作を開始。「カワサキパズル」(05)コニカミノルタフォトプレミオを受賞し写真家デビュー。「うしかいの左手」(09)ちばてつや賞大賞を受賞し漫画家デビュー。「ヒコットランドマーチ」(23)国内外の賞にノミネートし短編映画監督デビュー。

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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