NYで生きる!ワーキングマザーの視点
映画「八犬伝」の文字を書いた書道家の赤澤佳心さんがNYでパフォーマンス
日本ファンタジーの原点ともいわれる滝沢馬琴が書いた「南総里見八犬伝(八犬伝とも称される)」は、ざっくり言い過ぎかもしれないけど、「仲間との絆」や「運命への挑戦」といったテーマだ。漫画『ドラゴンボール』や『鬼滅の刃』の作家たちにも影響を与えているのではないか?とさえ言われている。
2024年11月5日、映画「八犬伝」※1のポスターに描かれている「八犬伝」の書を書いた書道家・赤澤佳心さんの作品がNYで展示され、同時に来場者の前で佳心さんが「八犬伝」の文字を書くパフォーマンスも行われた。パフォーマンスの前にお話をうかがうことができた。
──映画「八犬伝」の書の依頼はどのようにやってきたのですか?
八犬伝の映画に携わった関係者が知り合いだったこともあったので、ご縁のおかげで直接依頼がきました。監督さんからは、子供にも読める文字を書いてほしいというのも一つのリクエストだったので、私がいつも書く文字とは字体が違うのですが、ご依頼に合わせて力強い文字を書いています。
──普段書かれているのは、こちらの文字なのですか?
はい。私は静岡出身なのですが、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)※1は、浅間神社に祀られている神様で、文字の周りに、四季のイメージを描いています。墨汁ではなく、優しく彩墨を磨ると、このように半透明の色を出せるようになります。
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──八犬伝の映画はご覧になられましたか?
江戸時代の芸術や歌舞伎の舞台とかが入ってくるので、日本の伝統文化を伝えるためにも重要な映画で、戯作者・滝沢馬琴と浮世絵師・葛飾北斎の交流がとても深い内容でした。
奈落の底という語源にもなっている奈落※3についても映画の中で描かれていたのですが、少し難しいので、お子様向けではないかもしれないな・・・と思いました。
──書くときには気持ちを入れるのですか?
書の神様はいると信じているので、もちろん気持ちは入れています。八犬伝のように普段書いてない字体の場合は、気持ちを切り替えなければなりません。そうした気持ちの切り替えも、文字を書くことにおいて大切なことです。
八犬伝に出演されている役者さんたちのお名前も佳心さんが書いていたが、今をときめく役者さんばかりで驚いた。
NYでプロのダンサーがダンスを学ぶBroadway Dance Centerでダンスを教えているChio先生のクラスに、ドラマ「不適切にもほどがある」で主演女優さんだった河合優実さんが、レッスン参加されていたことも記憶に新しかったのだが、彼女も「八犬伝」の出演者の一人。
赤澤佳心さんは、今回の訪米により、NYの学校や公共施設にて様々なパフォーマンスを行い、さらにパフォーマンスの依頼が殺到しているのだという。これからもNYで書を広める活躍が期待されている。
※1.映画「八犬伝」・・・江戸時代の文化を背景に、戯作者・滝沢馬琴と浮世絵師・葛飾北斎の交流が描かれています。劇中には、実在の歌舞伎役者が登場し、歌舞伎の要素が取り入れられています。
※2.木花咲耶姫(このはなさくやひめ)・・・富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)に祀られている主祭神。富士山が神体山である。
※3.奈落・・・歌舞伎の演出において、奈落は独特の世界観を作り上げるために欠かせない部分です。奈落から突然登場することで、役者がまるで異次元や霊界から現れたかのような効果を生み出します。
【プロフィール】
岡山県岡山市出身 現在は静岡県富士市在住 書道家、雅号:佳心(けいしん)三燿社師範 書道caféOmoi店主(長岡式酵素玄米と書道café) NHK大河ドラマ鎌倉殿の13人富士市観光幟旗文字担当 筆文字を使ったお墓文字、看板文字、ロゴ制作、命名書を得意とします。 特に出張書道がメインで、イベント、学校、施設、企業研修等各種講師を受けております。 イベントやマルシェ等、お喜び書道家として活躍中。 また地域では文化芸術委員、各種団体代表、市民活動団体SASAERU代表など市民活動家としても活動中。 書道ボランティア歴30年。
【関連リンク】
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●映画「八犬伝」
著者プロフィール
- ベイリー弘恵
NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。
NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com