Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
オーストラリアで野球はどれほど不人気なのか?
19年前のアテネ五輪、金メダル獲得を目指して史上初の全プロ選手で臨んだ野球日本代表。日本国民が待ち望んだその夢を打ち砕いたのは、思いもよらぬ相手・・・それは、なんと野球後進国オーストラリアだった。
アテネ五輪の予選リーグで日本は、オーストラリアに4-9で敗れたが、6勝1敗の成績で上位4チームが進出できる決勝トーナメントへ一位で通過。しかし、準決勝で再びオーストラリアとぶつかり、0-1で敗れ、決勝へ進むことができずに「銅メダル」に終わった。
AUS vs JPN Semi-final Match - Baseball https://t.co/aaFgwtiHL7 @Olympics
-- Miki Hirano (@mikihirano) March 12, 2023
オーストラリアは、この勝利により決勝へ進出。キューバに敗れはしたものの、「銀メダル」を獲得した。しかし、野球オーストラリア代表がオリンピックで銀メダルを獲得したことを知る国民は、おそらくほんの一握りだ。
オーストラリアでは、夏季オリンピックが始まると毎日のように、水泳をはじめとするお家芸的な強いスポーツはトップニュースとして報じ、誰がメダルを獲得した、現在メダルは何個であるという報道に余念がないが、当時、野球代表が銀メダルを獲得したことは、ほんの一瞬触れられただけであった。だから、野球に興味がない限り、そのことを覚えている人はほとんどいないだろう。
以前のコラムにも書いた通り、スポーツ大国と言われるオーストラリアだが、野球はとんと人気がない。競技者人口も少なく、国内最大都市のシドニーでさえ、専門的に野球用品を扱うスポーツ店は3店しかないほどだ。こんなところも野球後進国と言われる所以でもある。
オーストラリアにおける野球の人気加減
先日より開幕した、4年に一度行われる野球の世界大会「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)」に、オーストラリアが参戦していることは、ご存知の方も多いことだろう。
オーストラリア代表のWBC初戦は、8-7 で韓国を破り、第二戦目となる中国戦は12-2の7回コールド勝ちで、現在、2連勝中。本日、12日には日本と対戦するが、この快進撃でさえも地元主要メディアの報道はほとんどない。
We did a thing.
-- Team Australia (@TeamAusBaseball) March 9, 2023
: https://t.co/Gyixg9CcDj#WorldBaseballClassic pic.twitter.com/tLUQIpP3mj
スゴイぞ、オージー快勝#中国 相手に 12 - 2 の7回コールド勝ち#オーストラリア #WBC2023 #WorldBaseballClassic https://t.co/ODtqVfNyb8
-- Miki Hirano (@mikihirano) March 11, 2023
さすがに、強豪・韓国を接戦の末に破った時は、豪ABCが「Australia shock the World Baseball Classic with upset 8-7 win over South Korea(オーストラリアがワールド ベースボール クラシックに衝撃、8-7 で韓国に勝利)」という記事を配信したが、中国戦の報道は主要メディアにおいては皆無。唯一、(2020年1-月から名称変更して本格的に活動を開始したばかりの)スポーツ専門メディアが報道した記事を見つけられただけだった。
ひとつだけ、オリジナルの記事を発見!SEN(Sports Entertainment Network)というスポーツ専門メディアのこの記事
-- Miki Hirano (@mikihirano) March 12, 2023
AUSTRALIA DOMINATES CHINA, CONTINUES WORLD BASEBALL CLASSIC MOMENTUMhttps://t.co/eAAtwIQj1j
そもそも、日本の野球特番向けの街頭インタビューで「WBCを知っていますか?」と訊いても、知っている人は誰一人いなかった...
同じくこの番組で取材した少年野球チームの子供たちに訊いても、クラスで野球をやっている子は自分以外には誰もいないと答えた子が多かった。肌感覚としては、ほとんどの国民が野球に興味がないと言い切ってもいいくらいで、このような状況は、野球好きの身としてはかなり寂しい...
そんな野球後進国であるにも関わらず、根っからスポーツ向きの国民性ゆえか、あまり人気がないスポーツなのに意外と強い。(この事実は、野球好きとしてはちょっとうれしい)
今日(12日)、史上最強の呼び声が高い今年の侍ジャパンこと野球日本代表に挑むオーストラリア。個人的には、日本とオーストラリアが決勝ラウンドへ行って欲しいと願っているのだけれど...果たしてその結果はいかに?〈了〉
著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/