コラム

精神医学の専門家が危惧する、トランプの「病的自己愛」と「ソシオパス」

2017年10月27日(金)15時00分

これらは、ギリガンも書いているようにほんの一部でしかなく、暴力の威嚇、自慢、鼓舞が次から次へと絶え間なく続いている。

「ドナルド・トランプが繰り返し暴力の威嚇をし、自分の暴力を自慢しているのに対して私たちが沈黙を守るとしたら、彼のことをあたかも『正常な』大統領、あるいは『正常な』政治的指導者だとして扱う危険でナイーブな失敗に加担し、可能にすることになる」とギリガンは訴える。

トランプが独裁者になりたがっていることは、専門家の指摘を待つまでもなく、彼の言動から明確だ。だからこそ、次のギリガンの呼びかけが重要になる。

「1930年代にドイツ精神医学会がおかした過ちを繰り返さないようにしよう」

これこそが本書の真髄だろう。

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プロフィール

渡辺由佳里

Yukari Watanabe <Twitter Address https://twitter.com/YukariWatanabe
アメリカ・ボストン在住のエッセイスト、翻訳家。兵庫県生まれ。外資系企業勤務などを経て95年にアメリカに移住。2001年に小説『ノーティアーズ』(新潮社)で小説新潮長篇新人賞受賞。近著に『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)などがある。翻訳には、レベッカ・ソルニット『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社、日経ビジネス人文庫)、マリア・V スナイダー『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)がある。

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