ニュース速報
ビジネス

加藤財務相、「為替水準の目標」議論せず 米財務長官と会談

2025年04月25日(金)09時18分

加藤勝信財務相は米国時間24日、ベッセント米財務長官との会談後に会見し、「為替水準の目標や、それに対する管理する枠組みなど、そういった話はまったくなかった」と語った。写真は2024年10月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Takaya Yamaguchi

[ワシントン/東京 24日 ロイター] - 加藤勝信財務相は米国時間24日、ベッセント米財務長官との会談後に会見し、「為替水準の目標や、それに対する管理する枠組みとか、そういった話はまったくなかった」と語った。為替レートは市場で決定され、過度な変動や無秩序な動きは経済・金融に悪影響とする国際合意を再確認したとし、「引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した」と述べた。

両財務相はワシントンで24日午後3時から同50分まで会談した。対面での会談は今回が初めて。

加藤財務相は冒頭、ベッセント財務長官に対し、米国の一連の関税措置について「極めて遺憾」だと伝達した。日米貿易協定との整合性に対する懸念も伝え、関税措置の見直しを強く申し入れたという。

その上で日米双方の諸問題について協議。加藤財務相は、日本企業の賃上げ状況や物価動向を含む経済状況を伝えた。「生産的な議論を行った」と会談後、報道陣に説明した。

今回の会談の焦点だった為替に関しては、「市場において決定されること、為替の過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与えることなどについて、認識を再確認した」と述べた。

為替を巡り、日本に何か要求するものはあったか、との問いに対しては「やり取りの中身について具体的なコメントは控える」と明言を避けた。ただ、米側から為替水準の目標などへの言及はなかったとした。

会談に先立ち、ベッセント長官はロイターなどの取材に応じ、為替水準の具体的目標設定は求めないと言及。自国に有利な通貨切り下げを念頭に置いた為替操作をしないとする国際合意を尊重すべき、としていた。

日本政府は「通貨安政策は取っていない」との立場だが、貿易赤字解消を目指すトランプ米大統領は、日本の円安を中国の人民元安と並べ、通貨安誘導への批判を繰り返してきた。

市場では「今回の協議は無難に通過したが、今後も警戒感は残る。来週予定される関税協議が不調だと、改めて矛先が為替に向かう懸念は拭えない」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志・主席エコノミスト)との声が出ている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米政権、サウジに1000億ドルを超える兵器

ワールド

インドネシア成長率、貿易問題あっても今年5%前後維

ビジネス

中国財政相、世界経済の成長は不十分と指摘 G20会

ワールド

ローマ教皇フランシスコに最後の別れ、大聖堂に弔問の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中