加藤財務相、「為替水準の目標」議論せず 米財務長官と会談

加藤勝信財務相は米国時間24日、ベッセント米財務長官との会談後に会見し、「為替水準の目標や、それに対する管理する枠組みなど、そういった話はまったくなかった」と語った。写真は2024年10月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Takaya Yamaguchi
[ワシントン/東京 24日 ロイター] - 加藤勝信財務相は米国時間24日、ベッセント米財務長官との会談後に会見し、「為替水準の目標や、それに対する管理する枠組みとか、そういった話はまったくなかった」と語った。為替レートは市場で決定され、過度な変動や無秩序な動きは経済・金融に悪影響とする国際合意を再確認したとし、「引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した」と述べた。
両財務相はワシントンで24日午後3時から同50分まで会談した。対面での会談は今回が初めて。
加藤財務相は冒頭、ベッセント財務長官に対し、米国の一連の関税措置について「極めて遺憾」だと伝達した。日米貿易協定との整合性に対する懸念も伝え、関税措置の見直しを強く申し入れたという。
その上で日米双方の諸問題について協議。加藤財務相は、日本企業の賃上げ状況や物価動向を含む経済状況を伝えた。「生産的な議論を行った」と会談後、報道陣に説明した。
今回の会談の焦点だった為替に関しては、「市場において決定されること、為替の過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与えることなどについて、認識を再確認した」と述べた。
為替を巡り、日本に何か要求するものはあったか、との問いに対しては「やり取りの中身について具体的なコメントは控える」と明言を避けた。ただ、米側から為替水準の目標などへの言及はなかったとした。
会談に先立ち、ベッセント長官はロイターなどの取材に応じ、為替水準の具体的目標設定は求めないと言及。自国に有利な通貨切り下げを念頭に置いた為替操作をしないとする国際合意を尊重すべき、としていた。
日本政府は「通貨安政策は取っていない」との立場だが、貿易赤字解消を目指すトランプ米大統領は、日本の円安を中国の人民元安と並べ、通貨安誘導への批判を繰り返してきた。
市場では「今回の協議は無難に通過したが、今後も警戒感は残る。来週予定される関税協議が不調だと、改めて矛先が為替に向かう懸念は拭えない」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志・主席エコノミスト)との声が出ている。