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アルファベット第1四半期は予想超え、AI投資が広告収益に寄与

2025年04月25日(金)10時20分

 4月24日、米グーグルの持ち株会社アルファベットが発表した第1・四半期決算は、売上高が予想を上回った。デジタル広告事業が安定して成長し、クラウドコンピューティング事業の伸び悩みが相殺された。写真は、同社ロゴと人のミニチュアのイメージ。2022年2月、ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニカ市で撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Deborah Mary Sophia Kenrick Cai

[24日 ロイター] - - 米グーグルの持ち株会社アルファベットが24日発表した第1・四半期決算は、売上高と利益が予想を上回った。人工知能(AI)分野への投資が広告事業の収益に寄与しているとの見方を示し、投資家に安心感をもたらした。

700億ドル規模の自社株買いも発表。株価は引け後の時間外取引で4%上昇し、時価総額が約750億ドル増加した。

アルファベットは野心的なAIインフラ整備計画を再確認し、今年750億ドルの設備投資を行う方針を維持した。これを受け、メタやアマゾン・ドット・コムの株価も時間外取引で上昇した。

トランプ米政権の通商政策は景気減速への懸念を引き起こし、企業の間で広告支出を見直す動きが出ている。また、米中間の関税応酬によるコスト上昇で、ハイテク大手がAIインフラ構築を保留または減速せざるを得ないのではないかという懸念も高まった。

グラナイトシェアーズのウィル・リンド最高経営責任者(CEO)は「インフラ支出を巡るストーリーは市場で特にネガティブなものになり、AI投資がピークに達しバブルがしぼむ兆候だと示唆していた。だが全くそうでないことをグーグルが示した」と述べた。

広告事業の売上高は8.5%増の668億9000万ドル。伸びは前四半期の10.6%から減速したものの、アナリスト予想(7.7%)は上回った。

<検索収入の成長継続>

グーグル検索へのAI組み込みが広告サービスの魅力を高める上で鍵となっている。

スンダー・ピチャイCEOは声明で「検索は引き続き力強い成長を遂げた」とし、AIがページ上部に検索結果を要約して表示する「AIオーバービュー」などの機能によるエンゲージメントが後押ししたと述べた。AIオーバービューの利用者は月間15億人に達したという。

エドワード・ジョーンズのアナリスト、デービッド・ヘガー氏は「チャットGPTのような生成AIプラットフォームが検索事業に影響を与えるとの懸念にもかかわらず、検索収入は好調な伸びを維持している」と指摘した。

それでも、グーグルのフィリップ・シンドラー最高事業責任者は会見で、同社もマクロ経済の不確実性と無縁ではないと指摘。トランプ大統領が中国と香港からの小口貨物に対する関税免除措置(デミニミス・ルール)を廃止する大統領令に署名したことに言及し、「今年は広告事業に対し、主にアジア太平洋の小売企業からやや逆風が吹くのは明らかだ」と述べた。

クラウド事業の売上高は28%増の122億6000万ドル。伸びは前四半期の30.1%から鈍化した。アナリスト予想は122億7000万ドルだった。

総売上高は902億3000万ドル。アナリスト予想平均(891億2000万ドル)を上回った。

1株利益は2.81ドルで、こちらも予想の2.01ドルを上回った。

設備投資は172億ドルで、前年同期比43%増加した。

ロイター
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