コラム

「耳をすませば」の舞台、青春の記憶呼び起こす多摩の丘

2019年03月22日(金)14時30分

『調布ゼミ』の塾長が大学でアメフト部だったことが関係しているかは分からないが、彼もやはり「生徒の自律性を尊重しながら、一人一人に合った学習の方法でサポートし、楽しく学習を継続して最適な進路を選択できる教育を提供することが、私たちの願いです」と、個性を伸ばす教育理念を掲げる。そして、これまでの画一的な教育の犠牲者とも言える不登校の子どもたちに活路を与え、近年特に目立ってきている発達障害の子たちも含め、「誰もふるい落とさない」姿勢を貫く。

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今回のスタート地点、調布駅前の『調布ゼミ』の前で友人で前半の同行者の塾長(左)と

◆富士山が見える光り輝く河川敷

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調布市内

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多摩川河川敷から見えた富士山

僕らは調布駅から南下して多摩川を目指した。住宅地のイメージが強い調布あたりも、多摩川に近い地域には、工場や倉庫、廃棄物処理場といった硬派な風景が広がる。このあたりまでくれば、河川敷のような開けた場所からは、都心よりもずっとはっきりと富士山を見ることができるだろう。

京王多摩川駅の西で多摩川に突き当たった。果たして、真っ白な雪をかぶった富士山が川の向こうに見えた。「富士山、きれいだね。川も、いいね」。河川敷の開放的な光景が眼前に広がった瞬間、塾長は若い頃から時折見せる優しい素顔になってつぶやいた。塾も人手不足で、ゆっくりと散歩する時間もなかなか取れないと言う彼に、光り輝く河原の光景を見せてあげられただけで、僕は満足だ。それが、子どもたちの明日への希望に少しでもつながれば尚良い。

塾長とはここで分かれ、河川敷を上流に向かって歩いた。

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多摩川河川敷=京王多摩川駅付近

プロフィール

内村コースケ

1970年ビルマ(現ミャンマー)生まれ。外交官だった父の転勤で少年時代をカナダとイギリスで過ごした。早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞の地方支局と社会部で記者を経験。かねてから希望していたカメラマン職に転じ、同東京本社(東京新聞)写真部でアフガン紛争などの撮影に従事した。2005年よりフリーとなり、「書けて撮れる」フォトジャーナリストとして、海外ニュース、帰国子女教育、地方移住、ペット・動物愛護問題などをテーマに執筆・撮影活動をしている。日本写真家協会(JPS)会員

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