インドネシア・サッカー場の悲劇 「警察の催涙弾が主原因」と政府調査委
警察の催涙弾の使用が132人の犠牲者を生んだ。Antara Foto Agency - REUTERS
<今後はスタジアムでの警備の改革が課題に>
インドネシア東ジャワ州のサッカー場で132人が死亡した事件の政府調査委員会は10月14日、ピッチに雪崩れ込んだファンなどに対し警戒に当たっていた警察による催涙弾発射が招いた混乱が原因とする調査結果をまとめ、ジョコ・ウィドド大統領に提出した。
警察はこれまでサッカースタジアムの狭く数少ない出入口が混乱を悪化させたなどとして施設上の不備を指摘するなどして、警察による催涙弾使用が混乱拡大の要因との立場を取らず、責任回避ともとれる姿勢を明らかにしていた。このため今回の政府調査委員会による調査結果に対して反論するかどうかが注目されている。
将棋倒しの下敷きで圧死多数
事件は10月1日、ジャワ島東ジャワ州マランにあるカンジュルハン・スタジアムで発生した。この日は地元マランの「アレマFC」と同州州都スラバヤの「ペルセバヤ・スラバヤ」によるサッカー1次リーグの公式戦で、人気が高く多くのファンが詰めかけた。
試合は前半同点だったが後半「ぺルセバヤ・スラバヤ」の日本人選手が「アレマFC」ゴール前の混戦からゴールを決め、これが決勝点となり勝利した。
試合後敗戦した地元チームのファンがピッチに雪崩れ込みその数は約3000人に達した。警備に当たっていた警察官や陸軍兵士とピッチのあちこちで衝突が発生、警察が警棒などでファンを打擲する様子が地元テレビで映しだされた。
ピッチを統制できないと判断した警察が催涙弾をピッチや残っていた観衆がいるスタンドなどに向かって次々に発射。催涙ガスで呼吸困難や失神、目や喉の痛みを訴えるファンが続出して、ピッチのファンは催涙ガスから逃れるために出口に殺到した。
そこで将棋倒しが発生し多くのファンが下敷きとなって圧死し、結果として132人死亡、300人以上が負傷というサッカー史上まれにみる悲劇となった。