親IS系テロ組織メンバー15人逮捕 インドネシア、独立記念日前の一斉摘発
拘束された容疑者のうちの1人が住んでいた住宅。この容疑者は医者だったという。 tvOneNews / YouTube
<間もなく独立記念日を迎えるインドネシア。祝賀行事での新型コロナ感染と同時にもう一つの危機の懸念が......>
インドネシア国家警察の報道官は8月14日、対テロ特殊部隊「デンスス88」が中東のテロ組織「イスラム国(IS)」と関係が深い国内のテロ組織2つのネットワーク摘発作戦で15人をテロ容疑で逮捕したことを明らかにした。
インドネシアでは17日が独立記念日であることから同日の前後を狙ったテロの可能性もあるとして内偵捜査を強めた結果、一斉逮捕に踏み切ったとみられている。
国家警察のアウィ・スティヨノ報道官は14日のオンライン記者会見でデンスス88が12日に首都ジャカルタ、西ジャワ州などの複数の地区でテロリスト摘発作戦を実行し、合計で15人をテロ撲滅法違反容疑で逮捕したことを明らかにした。
逮捕したテロ容疑者はいずれもイニシャルだけの公表で実名は明らかにされていない。年齢は21歳から54歳で、いずれもインドネシアのテロ組織である「ジェマ・アンシャルット・ダウラ(JAD)」と「東部インドネシアのムジャヒディン(MIT)」のメンバーないしメンバーにつながる関係者としている。
逮捕した15人はJADやMITで会計財務担当や兵站部門の調達係り、メンバーなどのIS参加を目的とするシリア渡航の手続き支援活動などに主に携わっていたものと警察はみている。
今回の摘発、逮捕で爆弾や武器などが押収されたかどうか、また独立記念日などを狙った具体的なテロ実行計画があったかどうかについて同報道官は明らかにしていないものの、国家警察は「テロの可能性、危険性は常にある」と日頃から国民に警戒を呼びかけていることもあり、15人逮捕の後もテロへの警戒を弱めていない。
最も活発で過激なテロ組織「JADとMIT」
今回摘発されたJADとMITはインドネシアのテロ組織の中では最も活動が活発で爆弾テロなど過激なテロ活動を実行する組織として知られている。
MITは主にスラウェシ島中スラウェシ州ポソを中心とした地域で活動するテロ組織だが、相次いで起こした爆弾テロ事件を重視した治安当局が2020年1月1日からMIT壊滅を目指した「ティノンバラ作戦」を発動して重点的に取り組んできた経緯がある。依然としてMITの最重要容疑者14人が未拘束であることなどから同作戦は9月30日まで再々延長されている(関連記事「インドネシア、イスラム過激派壊滅作戦を延長 長期化で民間人を誤認殺害との報道も」)。
スラウェシ島での治安当局の作戦が延長、強化されている影響もあり、MITのメンバーがジャワ島に移動して新たなメンバー獲得のリクルート活動や資金集めに躍起となっているとの情報があったが、今回ジャワ島でMITの関係者が逮捕されたことでそうした情報が証明されたといえる。
また各地で爆弾テロを計画、実行しているJADは2014年に設立されたテロ組織でシリアのISとの関係も深いほか、フィリピン南部のイスラム系テロ組織「アブ・サヤフ」との関係も緊密化しており、メンバー交流、共同作戦などにも近年は力を入れているとされる。活動地域はインドネシア各地に及んでいる。
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