親IS系テロ組織メンバー15人逮捕 インドネシア、独立記念日前の一斉摘発
日本大使館も注意喚起
17日の独立記念日はインドネシアでは最も大事な祝日の一つで例年はジャカルタの大統領官邸で多くの招待客を招いて盛大な記念行事が行わる。しかし今年はコロナウイルスの感染拡大が一向に収まらないこともあり、大幅に招待客を削減して規模も縮小したうえでの実施が予定されている。
また全国の地方自治体での記念式典も同様の措置となるほか、市町村の各地区で催される独立記念の「運動会」も表向きは「3密状態」となるため禁止が呼びかけられている。
「運動会」は町内会の子供たちが主に参加していわゆる「パン喰い競争」「道路にコースを描いた徒競走」「油で滑りやすくなった棒を上る棒登り」などが住民総出で賑やかに行われるのが恒例となっている。
こうした行事も自粛あるいは禁止となり、「国旗を飾って国民は自宅で独立記念日を祝うように」との指示が出されている自治体も多い。
こうしたなか在インドネシア日本大使館は14日に在留日本人に対して独立記念日(17日)に関わるテロへの注意、警戒を呼びかける「注意喚起」のメールを一斉に配信した。
その内容は「独立記念日に際しては、新型コロナウイルス対策のため例年より規模を縮小しつつも、各地で祝賀行事等が行われ、大勢の人が集まることが見込まれます。不特定多数の人が集まる場所や行事等はテロ等の標的になりやすいことから、十分に注意してください」となっている。
テロ実行の可能性は低いとの見方も
インドネシアでは現在、コロナ感染防止対策で各都市間を結ぶ主要道路にはコロナ対策用の検問が設けられているほか、鉄道やバスといった公共交通の主要ターミナル、駅、停留所での検温、マスク着用確認、荷物検査なども厳格に実施されている。
さらに主要公官庁やオフィスビル、ショッピングモール、宗教施設にまでコロナ対策として警察官や国軍兵士が配属されて「マスク着用や手洗い携行、社会的安全距離確保」などの監視、指導に当たる地方行政機関関係者を補助している。
こうした対コロナの態勢が強化されていることに加えて、独立記念日に関わる各種行事の中止、縮小もあることからテロリストがテロを実行するには難しい環境にあるとして「この時期のテロの可能性は低いのではないか」との見方も治安問題専門家の間から出ている。
その一方でコロナに乗じたテロの可能性も指摘されるなどインドネシアではコロナ禍の中で緊張した75回目の独立記念日を迎えようとしている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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