インドネシア政府、突然の陸海空の交通停止措置 帰国を予定していた邦人にも混乱
24日、ジャカルタ郊外のブカシでは高速道路の入口にバリケードが設置された。 WILLY KURNIAWAN - REUTERS
<世界でもっともイスラム教徒が多い東南アジアの大国は、断食月を前に強硬措置を発令した>
インドネシア運輸省は23日夜、24日午前零時から全ての国内便、国際便の航空機および船舶の運航を停止するとの決定を公表した。これは24日夜から始まるイスラム教の断食月に際してジョコ・ウィドド大統領が24日以降の帰省などの国内移動を禁止することを決めたのを受けた措置で、航空機・船舶に加えて全ての長距離列車も24日から全面運休となる厳しい「移動制限措置」となった。
運輸省の発表を受けて在インドネシア日本大使館は、日本に帰国する定期便の運航がこの「国内外の航空便の全面運休措置」に含まれるのかに関して運輸当局への確認を急いだ。
その結果、24日午前4時前に在留日本人に向けた一斉連絡メールで「インドネシア政府に対して日本との国際定期旅客便の運航継続を主張した結果、国際旅客便は規制の対象外との説明を受けた」という内容の通知を送った。
24日午前6時ジャカルタ発の全日空便(ANA)、同日夜11時発羽田行きのガルーダ便、同日夜9時55分発の成田行きの日本航空便(JAL)はいずれも日本に向けて予定通り運航されることが確認され、午前6時初のANA便は急きょ帰国する日本人を乗せて予定通り離陸した。
23日夕方から、在留日本人の間には24日から全ての航空便が運休するとの情報が流れ、旅行代理店、航空会社、大使館などに問い合わせが殺到したが、運輸省説明の詳細が不明なことなどから確認に予想以上の時間がかかった。
全面運航停止に5つの例外
運輸省は国内線、国際線を含む全ての航空便の運休を発表したが、例外として①国家指導者クラスあるいは国賓の搭乗便、②国際機関関係者の搭乗便、③インドネシア人あるいは外国人の本国送還に関わる航空便、④法執行機関関係者の搭乗便、⑤医薬品、医療機器、食料など新型コロナウイルス感染対策に必要とされる貨物を含めた航空便、の5つが例外として認められるとしていた。
問題はこのうち③の「外国人の本国送還に関わる航空便」にインドネシアから日本に向かう定期便が含まれるのか含まれないのかで、日本大使館もこの点の確認と日本便の運航の必要性を強く訴えて協議を続けたものとみられている。
日本に向かう定期航空便はガルーダ、JAL、ANAともに大幅に減便されており、そもそもインドネシア人は日本への入国が原則として制限されているため、日本便への搭乗者は大半が日本人乗客となっている。このため「日本に帰国する日本人を乗せた送還便」ということで例外規定に合致する解釈となった。