最新記事

トラベル

いまワイン好きがソノマを訪れるべき理由

2016年10月22日(土)09時00分
グレアム・ボイントン

magc161022-03.jpg

George Rose/GETTY IMAGES

 コッポラの会社はナパバレーにも大きなブドウ園を持っていて、年間100万ケースものワインを生産している。ブエナ・ビスタは10万ケース。それ以外のソノマのワイナリーは、年間5000~1万ケース程度の生産がほとんどだ。会員や見学者への直販しかしない所も多い。

「おいしいカリフォルニアワインに出会いたいなら、直接ソノマに来たほうがいい」と、地元でワイン店を経営するグレン・シーゲルは語る。「州外のレストランや小売店には出ていないワインが多いからね」

 しかもシーゲルが言うように、ソノマでは極上のピノ・ノワール(赤ワイン)とシャルドネ(白ワイン)が造られている。世界的に有名なワイン批評家のロバート・パーカーは、ソノマの多くのピノ・ノワールとシャルドネに100点満点中で90点以上を与えている。

【参考記事】世界初! あのワインの権威が日本酒の格付けを発表

家族経営の醸造所の魅力

 大型ワイナリーを2つ見学した後は、プチワイナリーを2つ訪問してみることにした。まず、ロシアン・リバー・バレーと呼ばれる地区にあるバチガルピ・ビニヤード。この辺りは赤ワイン用のブドウのシラー種に必要な温かさと、シャルドネ種とピノ・ノワール種に必要な冷涼さの両方に恵まれた気候が特徴だ。

 オーナーのバチガルピ家は、1872年頃にイタリア北部からこの地へやって来た。1950年代に歯科医だったチャールズと妻ヘレンが土地を購入して、上質なシャルドネと官能的なピノ・ノワールを造り始めた。

 現在、陣頭指揮を執るのはチャールズの孫娘ニコラで、単一種のワインを年間300ケースほど造っている。確実に手に入れたいなら、ここでニコラの話を聞きながら試飲させてもらい、ケースで買うのが一番だ。

 もう1つのフォート・ロス・ビニヤードは、海岸沿いの丘の上にある。なだらかな起伏のブドウ園から望む太平洋はまさに絶景だ。ここの所有者もイタリア系で、レスターとリンダのシュワーツ夫妻は70年代半ばに南アフリカから引っ越してきた。

 ここで隠遁生活を送るつもりだったが、「懐かしくて」南アフリカ生まれのブドウ種ピノタージュを植えたのが、ワイナリーを始めるきっかけとなった。今は涼しい海岸の気候に合わせてピノ・ノワール種とシャルドネ種が大半を占める。

 ピノ・ノワールとシャルドネ、ピノタージュの単一種ワインを試飲させてもらったが、パーカーの評価どおり文句なしの極上だった。ハラスティー伯爵も太鼓判を押したに違いない。

[2016年10月18日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中