カリフォルニアの「2045年ゼロカーボン電力」を阻む「これだけの課題」
California’s Green Dream
搾取型経済からの転換
CPUC公共権利擁護局のマット・ベイカー局長は昨年2月にポリティコに対し、「高額な料金はエネルギー転換を脅かす可能性がある」と認め、「エネルギー転換には世論の支持が必要であり、支持を維持するために、最もコストのかからない方法で実行することになる」と語った。
州知事執務室の報道官によると、昨年10月の行政命令は「電気料金高騰の主な要因として、屋上太陽光発電システムの補助金や、送電設備が山火事の原因になり消火活動を妨げることへの対策、安全監督への継続的な投資など、年々増えていくコストを挙げている」という。
「カリフォルニア州は全米で2番目に高い電気料金と再生可能エネルギーの高い普及率を誇るが、この2つに因果関係があるわけではない」と、ジェイコブソンは語る。「23年10月1日〜24年9月30日の電力需要に対するWWS(風力、水力、太陽光)発電の供給量が全米で最も多い12州には、24年3月に住宅用電気料金が最も安かった10州のうちの6州、電気料金が最も安かった20州のうちの10州が含まれており、電気料金が高いのは2州(カリフォルニアとメーン)だけだった」
カリフォルニア州の電気料金が高いのは「山火事のコストを顧客に転嫁した」ことが原因だと、ジェイコブソンも指摘する。これには送電線を地中化する費用のほか、ガスパイプラインの爆発事故やガス漏れ事故の補償金、老朽化したディアブロ・キャニオン原発の稼働費なども含まれる。また、化石燃料由来のガスを工業利用する際の料金はカリフォルニア州が全米で3番目に高く、「アメリカの平均の2倍以上」に達する。