米EIA統計や報告、一部中止や簡素化の可能性 トランプ政権の職員削減で

4月16日、米エネルギー情報局(EIA)職員のうち100人超が早期退職する見通しとなった。ワシントンで開催されたEIAのイベントで2017年撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[ヒューストン 16日 ロイター] - 米エネルギー情報局(EIA)職員のうち100人超が早期退職する見通しとなった。ロイターの取材に応じた情報筋は全職員の最大3分の1か、約40%の規模に達するとの見方と明らかにした。
背景には、トランプ政権が連邦職員削減のため退職勧奨を実施していることがある。情報筋3人は、大量退職の影響に伴い、世界で最も注視されるエネルギー関連報告の一部は発表継続が危ぶまれていると懸念を示した。
EIAは、原油とガスの生産量のほか、原油、燃料の在庫、価格予想などについて、週次と月次、年次のデータを発表している。いずれも取引業者やエネルギー企業が需給状況を把握する際に必須の統計指標で、世界の原油価格を動かすことは珍しくない。
情報筋2人によると、職員約350人の約40%が既に退職したか、早期退職優遇措置を受け入れた。一方、別の情報筋の1人は、退職者は最大で3分の1に達する可能性があると語った。また、EIAの現役職員3人を含む複数の情報筋は、退職者数は数十人に上ったと話した。
今後の統計や報告発表について2人の情報筋は、EIAは現在、引き続き発表が可能なものと、中止方向のものとに仕分けする作業を進めていると明らかにした。
EIAはロイターのコメント要請に応じなかった。
ある情報筋によると、EIA内部では、統計などの各種報告の発表スケジュール変更について議論している。最近、ガソリンやディーゼル燃料の最新情報の発表が月曜日午後から火曜日朝に変更されたことに言及し、原因に人員不足を挙げた。
また別の情報筋の話では、試論や中間報告的なワーキングペーパーに加え、包括的な分析を詳細に展開するホワイトペーパー作成といった多くの研究計画は、人員不足のために無期限延期となった。定期的に発表してきた各種報告は簡略化や短縮化が成される可能性がある。
週間石油統計などエネルギー関連の週次データについて、ある情報筋は「発表継続については何とも言えない。この先、どのようにして発表を続けられるのか、想像できない」と話した。
石油市場関係者の間では懸念が広がっている。過去20年以上にわたり毎週EIAのデータを活用してきたアゲイン・キャピタルのパートナー、ジョン・キルダフ氏は危機感を露わにした。「EIA発表の各種データは(エネルギー関連の)市場の価格発見機能を大きく支え、競争条件が公平となった。データ発表が中止になれば大変深刻だ」と話した。